研究課題/領域番号 |
20K23021
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
加地 博一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (50881588)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 顎骨骨髄炎 / メタゲノム解析 / メタトランスクリプトーム解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、顎骨骨髄炎に関与する細菌叢をゲノム解析することで、慢性化、難治化の原因となる病原因子を同定することを目的とする。本研究では顎骨骨髄炎の病変(腐骨)から、そこに存在する細菌叢のDNA、RNAを抽出し、メタゲノム解析・メタトランスクリプトーム解析を行い、培養では検出しきれない細菌を含め、細菌層が保有する病原因子を明らかにする。本年度は病変から抽出した細菌叢のDNAのうちで、細菌特有の16S rDNA、16S rRNAの領域を遺伝子解析することで、病変に存在(DNA、RNA量が多い)し、かつ活動性の高い(16S rDNAから16S rRNAへの転写率が高い)細菌種を同定し、さらにメタ16Sのデータから機能遺伝子を予測する解析パインプライン”PICRSt”を用いて顎骨骨髄炎細菌叢が保有する機能遺伝子を予測した。このことによって、今までは顎骨骨髄炎に対する治療方法が細菌をターゲットとしたものであったが、病原因子となる機能遺伝子が明らかになることによって、新たな治療ターゲットを同定するに至る可能性が見いだせた。しかし、本解析ではあくまでも細菌叢が保有する機能遺伝子群を「予測」したものであり、病原因子と考えうる機能遺伝子がどの程度発現されているかを明らかにすることは困難である。そのため、次年度はメタトランスクリプトーム解析、さらにはプロテオーム解析を進めて、実際に病原因子と考えうる機能遺伝子の同定、さらにはその発現量を解析していく。また、現在予備実験で勧めているメタゲノム解析では、細菌種だけでなく、バクテリオファージも検出されている。そのため、細菌種だけでなく、ウイルスも含めて解析することで、新たな治療ターゲットを同定できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度はCOVID-19の影響もあり、検体が集まらなかった。 そのため、現時点で取得している検体のみで予備解析を進めたが、論文等で発表するためにはさらなる検体採取が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
検体は継続して収集する。現時点で細菌叢が保有する機能遺伝子群が予測できているが、実際にどの機能遺伝子がどの程度疾患に関与しているかは明らかにできていない。そこで、細菌叢のメタトランスクリプトームを行い、機能遺伝子予測で同定した病原因子となりうる機能遺伝子の候補が、実際の病変(腐骨等)でどの程度発現されているかを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はCOVID-19の影響で検体が集まらず、検体処理のための試薬購入に至らなかった。また、学会もオンラインのみであったため、参加費以外の旅費等がかからなかった。
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