慢性顎骨骨髄炎(COMJ)とは、顎骨の炎症であり、複合感染症のひとつであると考えられている。我々は以前、口腔内に露出していない腐骨分離期をステージIIとして3つのステージに分類した。ステージIIのCOMJは細菌組成の多様性が低いことが示され、COMJ発症の過渡期における微生物叢の重要性が示唆された。しかしながら、COMJにおける微生物叢内の細菌活性についてはほとんど知られていない。本研究では、活性の高い細菌を同定するために、COMJにおける細菌のRNA:DNA比を調べた。サンプルからDNAとRNAを抽出し、16S rRNA遺伝子に基づく細菌組成を求めた。8つの門が優勢であったが、その構成はサンプルによって多様であった。属レベルでも多様な組成が観察された。しかし、アクチノミセス属とフソバクテリウム属のRNA:DNA比は、ステージIIでは極めて高かったが、ステージIとIIIではほぼ0であった。これらの属はこれまでCOMJの主要な病原体とは考えられていなかったが、今回の知見はCOMJの病因にこれらの属が関与している可能性を示唆するものであった。
|