研究課題/領域番号 |
20K23028
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西尾 文子 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (00881294)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ポリエーテルエーテルケトン / 金属代替材料 |
研究実績の概要 |
本研究は、高い材料加工性をもつポリエーテルエーテルケトン(PEEK)と高い抗菌作用をもつ銀ナノ粒子に着目し、これらを配合した抗菌作用をもつ全く新しいPEEK冠を開発することを目的とする。生体安全性や抗菌活性に加えて接着強さ、機械的強度、表面性状、二次齲蝕試験を解析することでPEEK冠の臨床応用の可能性を明らかにする。 具体的には、初めにPEEKに対して現時点で最良の研磨条件のプロトコールを確立し表面性状を均一化させたのちに、口腔常在菌(S. mutans等)や歯周病病原菌(Porphyromonas gingivalis等)を研磨後のPEEK表面に定着・抽出し、ATPアナライザーを用いてATP濃度を測定することで抗菌効果を検討し、プラーク付着や二次齲蝕の減少が期待できる全く新しい歯冠修復材料を創製することを目指す。 現在、予備実験の段階であり、様々な種類の研磨用器具を用いて表面の粗さを確認し、表面粗さ等詳細なデータ採取を行っている。さらに臨床応用を見据えた際、誤飲や誤嚥発生時の対応も考慮する必要があり、X線不透過性の試験も現在並行して行っている。PEEK単体にて作製したPEEK冠はX線不透過性をもち、CT撮影においてはアーチファクトが小さいため体内での位置特定が可能であることが判明した。さらに今後は、研磨の完了した状態での三点曲げ試験等を行い、抗菌剤を添加しても強度に問題がないことを確認する。加えて、抗菌活性試験をATPアナライザーにてATP濃度測定をすることで銀ナノ粒子を含むPEEKが抗菌性を有することか研究していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、表面性状の解析から開始した。様々な種類の研磨用器具を用いて表面の粗さを確認し、最も効率的かつ表面粗さの小さい方法を模索している。結果、予備実験が終了し現在本実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は2020年度に得られた結果をもとにPEEK冠を臨床にて用いる際に不可欠となる研磨のプロトコールを確立し、表面粗さおよび濡れ角の測定、表面性状のSEMによる確認を行うことで表面研磨の実験を完了させる。また、研磨の完了した状態での三点曲げ試験等を行い、強度に問題がないことを確認する。さらに抗菌活性試験をATPアナライザーにてATP濃度測定をすることで銀ナノ粒子を含むPEEKが抗菌性を有することを示していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、学会発表の旅費が発生しなかったため、余剰が発生した。そのため2021年度においては当該助成金を実験の追加に用いる予定である。
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