研究課題/領域番号 |
20K23029
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
竹村 翼 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (10882037)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ω3脂肪酸 / 歯周炎 / 炎症抑制効果 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、近年、抗炎症物質として注目を浴びているω3脂肪酸経口摂取時の歯周組織に対する抗炎症作用メカニズムを解明することである。具体的には①ω3脂肪酸が口腔内局所で直接分解されて、その分解産物(レゾルビンRevE1、プロテクチン)が抗炎症作用を発揮する。②腸管粘膜、腸内細菌叢で分解、生成したRevE1が血行性に歯周組織で抗炎症作用を発揮すると仮定して研究をデザインする。特に口腔内局所分解では、口腔内常在菌の関与も考慮する。これまでの先行研究は最終産物RevE1を直接局所投与する薬剤として使用目的の研究であったが、本研究課題では、食品として前駆体を摂取することでの恒常的な抗炎症作用に着目する。分解生成能を有する酵素、口腔内細菌を保有する人は、歯周炎を発症、進行しにくく、また保有しない人でもプロバイオティクスにより同様の効果を得られると考えられる。したがって、食による歯周炎の制御、また、通常の歯周病治療においては排除対象となる口腔内細菌を利用するという、歯周炎の予防、治療に対する新たなアプローチの開発に繋がることが期待できる。今年度は、ω3脂肪酸経口投与による歯周炎抑制効果の評価をマウス歯周炎モデルで検討した。歯周病原細菌P. gingnivalisを口腔内局所投与(1億CFU/3日毎、6週間)すると共に、ω3脂肪酸含有マウス食を与え、血清中と歯肉中のサイトカイン量の測定、歯槽骨吸収を評価した。コントロールのω6脂肪酸投与群と比較して、炎症性サイトカイン量が低く、骨吸収の抑制が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ω3脂肪酸経口投与による歯周炎抑制効果の評価をマウス歯周炎モデルで検討する方法を確立した。具体的には歯周病原細菌P. gingnivalisを口腔内局所投与(1億CFU/3日毎、6週間)すると共に、ω3脂肪酸含有マウス食を与え、血清中と歯肉中のサイトカイン量の測定、歯槽骨吸収に関して評価する系を確立し、今後の研究に利用できる。
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今後の研究の推進方策 |
ω3脂肪酸の分解産物RevE1にターゲとを絞って検討する。具体的には口腔内にω3脂肪酸投与後のRevE1量を完投すると主に、その分解酵素5-リポキシゲナーゼ量の変化を評価する。また、内因性因子(宿主由来の分解)以外に口腔内常在菌による分化にも着目し、マウス口腔内常在菌によるω3脂肪酸分解能の検討、メタボローム解析を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験系の確立がスムーズに行えたことと、新型コロナ感染による移動制限で、国内学会への参加ができなかったこと、及び、共同研究者との研究打ち合わせにかかる旅費等を使用しなかったため次年度繰越金が発生した。繰越分は動物実験系で、C57以外の系統のマウスでも同様の傾向が得られるか検討するために使用する。
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