研究課題/領域番号 |
20K23038
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
吉田 航 東京歯科大学, 歯学部, レジデント (30875703)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 歯周組織再生療法 / 中性自己組織化ペプチド / PTH / Non-contained歯周組織骨欠損 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績 In vitroでは4週齢のWistar系雄性ラットの上顎前歯を抜歯後,歯根膜由来 (rPDL)細胞をSPG-178上で培養し,細胞増殖を BrdU・ELISAにて解析した。また,共焦点レーザー顕微鏡 (CLSM)によるSPG-178内へのrPDL細胞の遊走や接着を観察した。BrdU・ELISAの結果,SPG-178内でrPDL細胞の増殖を認めた。CLSMにおいて,SPG-178 (1.5%) 群ではSPG-178(0.8%)群と比較し,伸長した細胞を多く認める傾向があった。 In vivoでは10週齢のWistar系雄性ラットの上顎第一臼歯近心にNon-contained・2壁性歯周組織欠損を作製した。欠損内にSPG-178を応用した群とUnfilled群に分け,各々にPTH全身投与・非投与の2群に分け,計4群を設定した。術後2週で形態学的 (micro-CT),組織学的 (H-E染色)に検討した。micro-CT解析の結果,術後2週でPTH非投与/Unfilled群と比較し,PTH投与/SPG-178群では骨体積率が有意に大きな値を示した(p <0.05)。H-E染色でも同様の傾向を示し,PTH投与/SPG-178群ではより顕著に新生骨様構造が認められた。 以上のことから、SPG-178は細かな網目状構造を持つことで,細胞増殖の足場として機能した。さらに,non-contained型欠損内では,SPG-178の作用により血餅が保持され,PTHとSPG-178の併用により歯周組織の治癒が促進することが示唆された。 今後は、免疫組織化学染色やリアルタイムPCRを行い、歯周組織治癒のメカニズムの解析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はin vivo、in vitro実験を同時に行うことができ、in vivoではラットに2壁性の歯周組織欠損を作製し、術後2週における骨梁構造解析やH-E染色による形態学的な評価を行えた。さらに、in vitroでは細胞増殖をBrdU・ELISAで解析し、CLSMでは細胞形態や遊走能の観察を行うことができたことからも、おおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
In vivoにおいては術後4週での形態学的、組織学的な評価に加え免疫組織化学的な評価を行い骨形成関連遺伝子の発現を調査する。 In vitroにおいてはリアルタイムPCRによる骨形成関連遺伝子の解析を行う。SPG-178上にラット歯根膜細胞を播種後,PTHを間歇投与後、サンプルを採取し、Alkaline phosphatase、OsteocalcinやOsterixなどの骨形成関連遺伝子に対し、リアルタイムPCRを行い定量する。In vivo、in vitroの観点から歯周組織治癒におけるSPG-178とPTHの作用機序の解明を骨形成関連遺伝子に着目し行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス蔓延のため、実験が遅延し実験使用予定の消耗品の購入が遅れたため次年度使用額が発生した。翌年度分と合算し実験に使用する消耗品の購入に割り当てる。
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