本研究において、細胞の代謝活性を低酸素環境においてリアルタイムにモニタリングすることで、がん周囲環境中の酸素濃度の変動が、がん細胞の代謝に影響を及ぼすこと、さらには単純な酸素濃度の違いだけはなく、高酸素から低酸素、低酸素から高酸素濃度条件といった濃度変動により、より多彩な代謝反応の変化が起きることが明らかとなった。本研究結果は、がん細胞の代謝は、複雑にその様相が変化していくがん周囲の微小環境を再現しながら探っていく必要性が高いこと、その際、単純に環境を変えるだけではなく、その変動という視点を加味することが必要であることを示唆し、これからの細胞代謝研究に新たな視点を与えるものとなった。
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