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2020 年度 実施状況報告書

α線源が口腔がんの細胞周期動態に与える影響とそれを標的とした放射線増感法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K23046
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

野島 瞳  東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (40878203)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードα線源 / 口腔がん / 小線源治療 / 細胞周期 / 放射線増感法
研究実績の概要

口腔がんに対する低線量率小線源治療は有用な治療法であるが、主にγ線源を用いており、γ線に抵抗性を示すがんの存在や術者の被曝、患者の隔離などが問題となっていた。こうした問題点を解決することが期待できるα線源を用いた全く新しい小線源治療法が、近年イスラエルで開発され、2019年度より申請者の所属する施設で治験が開始された。しかしながら、細胞動態への影響をはじめ、放射線生物学的知見はほとんど得られていない。本研究では、細胞周期を可視化できるFucciを導入した細胞を用いて、α線源による細胞動態、特にG2アレスト動態の解析をin vitro, in vivoの両面から行う。さらに、得られた知見を基に、α線源に対する増感剤として細胞周期チェックポイント阻害剤を用いて有用性を検討することで、口腔がんにおける新たな放射線治療増感法を確立することを目指す。
2020年度は、α線源による細胞動態解析をin vitroとヌードマウス皮下移植腫瘍モデルを用いて行った。Fucci導入HeLa細胞、Fucci導入口腔がん細胞株(ヒト口腔扁平上皮癌細胞株SAS、HSC3、HSC4、マウス扁平上皮癌細胞株SCCVII)を用い、蛍光顕微鏡で細胞周期動態変化を観察したところ、α線源により細胞にG2アレストが起こり、時間経過とともに線源の極近傍1mm程度で細胞死が起こる過程を捉えることができた。また、線源近傍から距離依存的にDNA損傷量が減少することが分かった。マウスモデルではin vitroよりも範囲は狭いが、同様に、線源近傍で著明なDNA損傷が引き起こされること、G2アレストが起こることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、α線源を用いてin vitroとin vivoでの実験を進めており、様々な知見が得られている。新型コロナウイルスの影響で、α線源のイスラエルからの輸送が延期することや、実験施設の使用制限もあるが、おおむね順調に進めることが出来ている。

今後の研究の推進方策

2021年度は、2020年度の計画を継続して実施する予定である。in vitroにおける1)α線源による細胞動態解析、2)α線源とG2アレスト阻害剤併用による細胞動態解析、in vivoにおける3)α線源刺入による腫瘍動態の解析(腫瘍内の壊死領域、低酸素領域、DNA損傷、細胞周期動態)、4)G2アレスト阻害剤併用による効果の検討のうち、1),4)については既に数種類の細胞株での動態解析を行っており、様々な知見が得られている。マウスの皮下移植腫瘍ではα線源を刺入するために一定以上の大きさの腫瘍が必要であるが、対照群の壊死領域が多い場合、刺入後に壊死領域が観察されてもそれがα線源の効果か否かを判断することは困難である。また、in vivoにおける細胞周期動態の捉えやすさは細胞株により異なるため、壊死領域の形成が少ないかつ細胞周期動態が捉えやすい細胞株の選定が必要である。その選定を行った上で、2021年度はG2アレスト阻害剤併用による動態解析を行う。また、線源近傍の細胞動態変化を捉えた上で、α線源からどの範囲までの細胞が最終的に死に至るのかについても検討を加える予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 口腔扁平上皮癌細胞を用いた定位放射線治療の効果とG2アレストの関連性の検討2021

    • 著者名/発表者名
      野島瞳、戒田篤志、三浦雅彦
    • 学会等名
      第39回日本口腔腫瘍学会学術大会

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公開日: 2021-12-27  

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