研究課題/領域番号 |
20K23049
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉原 翠 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70882330)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 胃食道逆流症 / 摂食嚥下障害 / 口腔生理学 |
研究実績の概要 |
肺炎は高齢者の主たる死亡原因であり,中でも摂食嚥下機能の低下に伴う食物や唾液などの分泌物の誤嚥による誤嚥性肺炎の発症例は加齢とともに増加している.また,近年増加傾向にある胃食道逆流症(GERD)患者では,誤嚥性肺炎発症のリスクが高いとされるが,その機序は不明である.本研究は咽喉頭の長期的酸暴露に伴う嚥下誘発変調の中枢・末梢性メカニズムを解明するとともに,嚥下・咀嚼・呼吸の協調に与える影響を明らかにすることを目的とした. 令和2年度には胃吻合GERDモデルラットを作成し,慢性モデルの確立を計画していたが,まずは急性モデルを用いて,咽喉頭酸逆流によって生じる嚥下誘発の低下のメカニズム解明を進めることに変更した.具体的には嚥下誘発に重要な上喉頭神経の神経活動記録を行い,咽喉頭領域への持続的な酸刺激投与により,上喉頭神経活動がいかなる変調を受けるか検証することとした. 麻酔下動物にて,咽喉頭周辺の神経活動を記録するための実験を行った.実験には7-12週齢のSD系雄性ラットを用いた.咽喉頭の感覚は迷走神経の分枝である上喉頭神経によって支配されていることから,上喉頭神経からの記録を取ることを最終目的とし,まずは他の比較的分離が容易な神経を用いて技術の習得を試みたが,現状では記録がとれておらず,神経の活動を同定するに至っていない.今後安定して神経記録が取れるよう,技術的な向上が望まれる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上喉頭神経は内径が細く,分離できる距離が短いため,まずは他の分離が容易な神経からの記録を行うことで,神経記録の手技習得を目指した.具体的には同じく迷走神経の分枝であり,声帯の運動を支配する反回神経および舌の運動を支配する舌下神経から記録を試みたものの,安定して記録がとれておらず,手技の習得には至っていない.よって,上喉頭神経からの記録もとれず,GERDモデルラット作成まで至っていない.実験計画としては遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
神経記録手技を習得し,上喉頭神経の活動を同定・記録することを目指す.その上で次年度は咽喉頭の持続的な酸曝露と同時に上喉頭神経の記録を取り,咽喉頭酸逆流症における末梢神経の変調について明らかにする.神経記録が安定して取れない場合は,先にGERDモデルラットを作成することを検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)GERDモデルラット作成のために購入予定だった備品が不要となり,当初の予定より低い支出となった. (使用計画)次年度の動物購入及び神経分離に必要な顕微鏡購入費用にあてる.
|