研究課題/領域番号 |
20K23062
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
森井 葵 九州歯科大学, 歯学部, 医員 (20882046)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 / 疼痛 / TRPV4 / 酸化ストレス / ROS |
研究実績の概要 |
矯正治療は長期に渡ることが多い。その間多くの患者が痛みや不快感を訴える。しかし、歯の移動に伴う痛みの発症機序は不明な点が多い。これまでに、矯正力によって歯根膜および歯髄において酸化ストレスが生じることや、歯根膜線維芽細胞に対する機械刺激によりATPの放出が増加することを明らかとなってきた。しかし、歯周組織においてどのように機械刺激が受容され、酸化ストレスやATPが生じるかは不明である。侵害受容に関わるとされるTRPチャネルの中で、TRPV4は伸展刺激のセンサーであり、浸透圧刺激や血流の変化によって生じるshear stressなどの機械刺激を感知し、ATP放出に関わることが知られている。本研究では、実験的歯の移動モデルを用いて、行動学的、免疫組織化学的手法およびin vitro実験を行うことで、TRPV4を介した歯の移動に伴う疼痛発症機序を解明することを目的とした。 まず、行動学的解析を行うために7週齢雄性Wistarラットの上顎右側第一臼歯と同側切歯間にNi-Tiコイルスプリングを装着し50 gfの矯正力を付与した実験群と矯正力を加えていないsham群を用意した。コイル装着から1日目にTRPV4拮抗薬RN-1734を腹腔内または 歯根膜腔内に投与し、30分後に疼痛関連行動の指標とされているマウスラビング時間を10分間測定した。その結果、歯の移動に伴い増加した疼痛関連行動が、TRPV4拮抗薬の投与により有意に抑制された。このことから、歯の移動に伴う疼痛発症にTRPV4が関与していることが示唆された。現在、上顎骨組織切片を作製し、歯根膜におけるTRPV4の発現や歯の移動に伴う発現変化等を組織染色を行い検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りin vivoでの実験を先行して進めることができている。行動実験でTRPV4の関与が示唆されたため、in vitro実験も計画している。現在、歯根膜線維芽細胞に対して矯正力負荷状態を模倣するための実験条件を検討している段階である。培養液量、圧力負荷時間等、複数の要因が関わるため、条件決めに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、in vivo実験では上顎骨組織切片を作製し、歯根膜でのTRPV4発現を調べることを進めていく。in vitro実験での条件が決まり次第、歯根膜線維芽細胞に対するTRPV4の影響やROSとの関係等を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19蔓延により、学会等が中止かオンライン開催になったため、旅費等での使用がなかった。
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