歯科矯正時の痛みは、歯根膜への機械刺激が原因と考えられている。本研究は、機械受容分子の1つであるTRPV4に着目し、歯科矯正時の疼痛発症への関与について検討した。ラット歯根膜において、線維芽細胞と自由神経終末にTRPV4は発現していた。ラット歯科矯正モデルにおいて、侵害応答指標であるラビング時間延長はTRPV4拮抗薬の投与により有意に抑制された。培養ヒト歯根膜線維芽細胞に対する圧刺激はATP分泌を促進させたが、TRPV4拮抗薬は何ら影響を示さなかった。これらのことより、歯科矯正時の疼痛は、歯根膜中のTRPV4発現神経終末が直接的に機械刺激を受けて発症することが示唆された。
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