研究実績の概要 |
本研究は唾液腺間葉細胞を誘導し、既に報告されている唾液腺オルガノイドと組み合わせることによって持続的に成長可能な唾液腺オルガノイドを誘導することにあった。唾液腺間葉は神経堤由来であることが報告されている (Le Douarin, N. et al. Development; 2004)。この、報告を応用し、誘導を試みた。具体的な誘導方法としては、唾液腺間葉細胞は神経堤由来であることに着目した。はマウスES細胞 (EB5) を神経分化誘導法の一つであるSDIA法(マウス骨髄由来PA6細胞との共培養)を用いて外胚葉から誘導する。過去に、マウス間葉組織由来細胞のPA6細胞とES細胞であるEB5を共培養することで神経堤細胞を誘導した報告がありその方法を参照した。マウスES細胞とPA6細胞の共培養したものに、BMP4を添加することで誘導するものであった。結果としては形態的に神経由来細胞への分化を強く認めたため、培養条件の検討が必要であった。また、ヒトiPS細胞からの唾液腺間葉細胞誘導に関しても同時に検討を行った。当初予定していた201B7のiPS細胞からは神経堤細胞は誘導できなかったが、異なる細胞株である1231A3からは誘導可能であった。神経堤からの末梢神経などへの分化にはWntやBMPシグナルなどが関わっている。そこで、唾液腺間葉細胞の誘導は、神経堤前駆細胞へBMP4やTGF-βなどを各種濃度で添加することで行う予定であった。各種濃度のFGF-2、BMP4を添加し、神経堤細胞の誘導を試みたが、誘導はできない結果であった。
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