研究課題/領域番号 |
20K23068
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
大木 調 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (60878255)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 乳歯 / 低栄養 / 生活習慣病 / DOHaD / Tenascin / 象牙質 |
研究実績の概要 |
本研究は、胎児期および出生後早期の低栄養が象牙質蛋白の発現パターン異常として歯に記録されるかの検証を目的としている。ヒトにおける介入研究は困難であるため、まず、動物実験にて低栄養が象牙質形成にもたらす影響を調査し、その後、ヒト組織にて検証を行うすることとしている。今年度は、正常マウスと正常ヒト組織の切片を用いた免疫組織化学的解析のパイロット実験を行った。 【動物実験】 胎生13.5日齢から生後32日齢までの正常マウス歯胚におけるTenascin Cの発現を免疫組織化学染色にて観察したところ、発生期の胎生13.5日齢から胎生15.5日齢の歯乳頭、象牙芽細胞層には発現が観察され、その後発現が弱くなった。生後10日齢のマウスでは、象牙前質にも発現が観察された。正常マウスの石灰化象牙質ではTenascin Cの明らかな発現を観察できなかった。低栄養仔マウスの作成について文献を検索し、飼料や低栄養の時期および期間について検討を行なった。 【ヒト組織を用いた解析】 ヒトの歯の採取に先立ち、患児の胎児期および出生後早期の栄養を含めた環境に関しするアンケートを作成した。アンケートの内容を含めた研究計画書を作成し、福岡歯科大学における研究倫理委員会の承認を得た。予備実験として、ヒト組織にてTenascin Cの発現の確認を行ったが、マウスに観察されたような象牙基質に染色される像は確認できず、象牙細管に沿った染色が認められた。ヒトの歯を採取し、脱灰方法についてパイロット実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験については、研究代表者は低栄養仔マウスの作成が未経験であるため、飼料や低栄養の時期についての検討に時間を要し、実験が遅れている。現在、動物実験計画書を作成中であり、承認後、直ちに実験を開始する予定である。 ヒト組織を用いた実験では、研究倫理審査に時間を要したため実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、低栄養仔マウスの象牙質解析について動物実験計画書を作成中である。動物実験計画書の承認後、母獣マウスに対しカロリー制限、タンパク量制限を行い、母獣マウスの体重変化や胎児数および胎児の体重に関するパイロット実験を行う。その後、産まれた低栄養仔マウスの歯について免疫組織化学的解析を行い、コラーゲン性タンパク質、および非コラーゲン性タンパク質(象牙質シアロリンタンパク質、象牙質リンタンパク質、象牙質マトリックスタンパク質1、オステオカルシン、オステオポンチン、Tenascin C)の発現パターンを確認する。 動物実験と並行し、ヒトにおける調査症例数を増やしていく。採取したヒト乳歯および永久歯を用いて、マウスと同様に象牙質解析を行う。その結果と胎児期および出生後早期の栄養状況を含めた環境に関するアンケート結果が、動物実験で得られた結果を反映しているかを評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大の影響により、研究に必要な物品の納品が遅延したため。
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