破骨細胞の分化において、NFATc1(破骨細胞形成マスター転写因子)の活性化に必要なカルシウムシグナルの誘導はITAMを有するアダプター分子を介する。ITAMをもつアダプター分子FcRγやDAP12の遺伝子二重欠損マウスは破骨細胞の分化障害を示すことから、ITAMが破骨細胞の分化に必須であることが報告された。一方、細胞増殖のシグナル伝達に関わる機能分子としてITAMを有するSTAMが同定されている。現在までに野生型マウスから作成した破骨細胞前駆細胞にレトロウィルスベクターを使用してSTAM1分子を過剰発現して破骨細胞形成を行ったところ、過剰発現したほうが破骨細胞形成が促進された。一方、破骨細胞前駆細胞にshRNAを使用してSTAM1をノックダウンして破骨細胞形成を行ったところ破骨細胞形成は抑制された結果は得られている。次に、STAM2をレトロウィルスベクター(pMX-puro)を使用しての破骨細胞前駆細胞への遺伝子導入を試みた。まず、レトロウィルスベクター使用のためレトロウィルスパケージング細胞であるPlat-E細胞のストックを作成した。次に、STAM2のレトロウィルスベクター作成するため、つなぎ変えのベクター作成した。そのベクターよりSTAM2遺伝子を切り出し、pMX-puroにSTAM2遺伝子をつなぎ替えたところまで終了した。さらに破骨細胞前駆細胞にSTAM1およびSTAM2が発現していることを確認した。破骨細胞前駆細胞にRANKL刺激を行うとMAPKs(ERK、JNK、p38)のリン酸化が起こることを確認している。さらにNFk-Bがリン酸化し、核内へ移行することも確認している。今後、このSTAM1およびSTAM2がこれらのシグナル伝達に関与しているか、確認する予定である。
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