頭頸部癌の中でも舌癌の症例では術後に構音障害や嚥下障害が生じることがある。リハビリや口腔内装置による機能代償しか手段がないのが現状であり、これらを用いても回復困難な場合もしばしば認める。喪失した舌筋組織再生はこのような機能障害に対する新たな治療法といえる。 本研究において着目しているナノゲルは内包したタンパクを生体内で徐放する機能があり他の生体材料にはない特徴である。筋組織と同様の力学的性質を持つことから、舌のような筋組織再生に適した材料であると考えられる。ナノゲルによる舌筋組織をはじめとした術後機能障害に対する新たな治療法の確立に貢献しうることが研究の社会的意義である。
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