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2021 年度 実績報告書

血管網と神経網を有するハイブリッド型人工歯髄のin vitro創製

研究課題

研究課題/領域番号 20K23106
研究機関大阪大学

研究代表者

堅田 千裕  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20876677)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード歯髄 / 再生歯学 / 生体材料 / 歯髄幹細胞 / 血管 / 神経
研究実績の概要

歯髄は歯の寿命に強く関わり,歯髄再生療法は健康寿命を延ばすうえで大きな意義を持つ.これまで我々のグループでは,in vitroで構築した人工歯髄様組織を無髄歯根管内に移植することで歯髄再生を達成する,新たな歯髄再生医療技術の確立を目指した研究に取り組んできた.そして,ヒト歯髄幹細胞(DPSC)のみからなるスキャフォールドフリーの細胞集合体を作製することに成功し,このDPSC集合体が人工歯髄様組織として機能することを報告してきた.しかし,血管や神経に富む天然歯髄に遜色ない組織の創製には至っておらず,作製したDPSC集合体を用いても,無髄歯根管内を完全に満たすような歯髄組織の再生は難しく,また再生に期間を要することが問題として残されていた.これは,根管内への血流供給が直径1 mm以下の根尖からのみに限られるため,組織再生が効率よく進展しないことが要因であると考えられた.そこで,あらかじめ血管網あるいは神経網をあわせもつDPSC集合体をin vitroで構築して根管内に移植すれば,血管新生を促し,より確実な歯髄再生を効率的に実現できるのではないかとの着想のもと本研究をスタートさせた.
本研究の結果,DPSC集合体を血管内皮細胞分化誘導培地で培養することで,細胞集合体を構成するDPSCが血管内皮細胞に分化し,集合体内に血管様構造が形成されることが分かった.さらに,血管様構造を有したDPSC集合体は,血管構造をもたない集合体と比較して,無髄歯根管内において高い歯髄再生能を発揮することが明らかとなった.また,神経細胞分化誘導培地で培養したDPSC集合体の組織学的・電気生理学的検討の結果、ナトリウムチャネルおよびカリウムチャネルをもった神経細胞が集合体内に形成されていることが分かった。
これらの結果から,本研究を通じて作製した血管網や神経網をもった歯髄様組織は,機能的な歯髄再生を可能にする新規生体材料として応用できる可能性が示された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Michigan(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Michigan
  • [雑誌論文] Fabrication of Vascularized DPSC Constructs for Efficient Pulp Regeneration2021

    • 著者名/発表者名
      Katata C, Sasaki JI, Li A, Abe GL, Nor JE, Hayashi M, Imazato S.
    • 雑誌名

      Journal of Dental Research

      巻: 100 ページ: 1351-1358

    • DOI

      10.1177/00220345211007427

    • 査読あり / 国際共著
  • [備考] 大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座(歯科理工学教室)

    • URL

      https://web.dent.osaka-u.ac.jp/techno/index.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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