シェーグレン症候群(SS)は、主に唾液腺と涙腺の炎症を特徴とする慢性自己免疫疾患である。 活性化されたT細胞は、炎症性サイトカインを産生することに よって疾患の病因に寄与する。この研究は、SSの唾液分泌低下に対する歯髄幹細胞(DPSC)または骨髄間葉系幹細胞(BMMSC)に由来する分泌因子の影響を評価し、関与するメカニズムを調査することを目的とした。 DPSCおよびBMMSCから培養上清(CM)を収集した。 それらを使用した前年度の研究では、インターロイキン(Il) -10およびトランスフォーミング成長因子-β1の発現レベルはDPSC-CMでアップレギュレートされたが、Il-4およびIl-17aの発現レベルはダウンレギュレートされた。DPSC-CM投与群は、他の群と比較して、制御性T(Treg)細胞の割合が大幅に増加し、17型Th(Th17)細胞の割合が大幅に減少した。これらの結果は、 DPSC-CMがマウスの脾臓のTreg細胞分化を促進し、Th17細胞分化を阻害することによってSSを改善したことを示したが、そのメカニズムは不明であった。 ここで、近年、細胞間のコミュニケーションを担うものはエクソソーム(Exo)であり、Exoも培養上清に含まれていることが分かっている。Exoを投与すると主要臓器に集積するとの報告があり、その後標的細胞に運搬されることで組織修復、炎症反応の抑制、免疫機能の制御といった様々な生物学的機能を持ち、治療効果をもたらすことが期待されている。これらのことから、ヒト骨髄間葉系幹細胞由来エクソソーム(BMMSC-Exo)およびヒト歯髄幹細胞由来エクソソーム(DPSC-Exo)をSSモデルマウスに投与し、治療効果の比較検討を行った。
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