骨の伸長は、骨端部の成長板軟骨細胞が増殖・分化することで誘導される。血管が存在せず、低酸素環境にある成長板で軟骨細胞がいかにして増殖に必要なエネルギーを得ているかは、生命科学における大きな謎のひとつである。最近、哺乳類のミトコンドリアで硫黄呼吸の存在が示唆された。そこで、硫黄呼吸に必要な活性硫黄分子種産生の基質供給源としてシスチンを多く含む飼料がマウスの成長に与える影響を調べた。8週齢のマウスをシスチンを12倍含む飼料で4週間飼育したところ、肝機能の低下が見られ、肝臓の組織所見から、炎症を起こしている可能性が示唆された。マウスの週齢とシスチンの量・投与方法の検討が必要と考えられた。
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