研究課題/領域番号 |
20K23126
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
杉田 由加里 千葉大学, 大学院看護学研究院, 准教授 (50344974)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 自治体保健師 / 管理期 / 組織マネジメント / コンピテンシー / 学習プログラム / ピア・ラーニング / リフレクション |
研究実績の概要 |
管理期保健師の実践は管理する小集団の業績に大きく影響を与えると考え、申請者らは、業績の向上と人材育成の両輪を考慮した自治体保健師の組織マネジメントに関する役割行動指針を作成した。コンピテンシーを示すこの役割行動指針を活用し、学習課題に取組むための学習支援プログラムが必要と考えた。成人学習者である保健師が経験からの学習能力を高めるためには、同じような立場の仲間(ピア)とともに支え合いながら関わりを持ち、学習者としてまた、学習支援者としての知識やスキルを身に着けていくピア・ラーニングを用いた学習方法が有効ではないかと考えた。 本研究の目的は、自治体保健師の組織マネジメントに関する役割行動指針を活用したピア・ラーニング・プログラムを作成することである。 2021年度は、以下の内容に取り組んだ。 2020年度年度に作成した学習プログラム案について、教育工学の専門家からのアドバイスを受け、研究班にて洗練させた。その後、国内学術集会にてワークショップを実施し、自治体の管理期保健師の能力として、業績の向上と人材育成の両輪を考慮した組織マネジメント能力を中心に、管理期保健師の人材育成の実態と課題について討論し、学習プログラムのニーズや内容への示唆を得た。 2021年度後半に、約半年間の学習プログラムを3人の県保健師と5人の市保健師からなる2グループで実施した。学習プログラムは、概要や目的・目標、基盤となる理論、実施方法と内容、評価方法を記載した学習ガイドと記述式の学習ツール(様式1~4)を活用し、4回の集合研修と各自の実践を組み合わせたものとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者3名、自治体保健師3名よりなる研究班を結成し、取組んでいる。 学習グラムの作成においては、予定どおりに教育工学の専門家からのアドバイスを受け、研究者と実践家より構成される本研究班で洗練させた。さらに、学術集会にて、自治体保健師の組織マネジメントに関する能力の向上に対する学習ニーズや学習プログラムの内容に関する示唆を得ることで、内容の充実と実現可能性の両面を考慮した学習プログラムを作成した。 2021年度の後半に約半年間の学習プログラムを2グループで実施した。一人が初回で辞退したため計8人の参加者となった。集合研修はリモートでの実施となり、遠隔地の自治体に所属する保健師が同じグループに参加することができ、学習者・学習支援者というピア・ラーニングから見て積極的な参加行動が見られた。 学習プログラムの評価としては、①オリジナルに作成した役割行動指針を用いた学習プログラム前後の質問紙調査、②学習プログラム終了時の様式1~4の記載内容、③外部基準を用いた公衆衛生看護管理者としての能力の前後変化に関する質問紙調査、④学習プログラム終了時に個別の半構成的インタビューを実施し、現在、分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、学習プログラムの評価の実施と研究成果の発信を行う。 学習プログラム終了の3か月経過後に個別の半構成的インタビューを実施する。インタビュー項目は、①様式に記載した目標への取り組み状況、②ピア・ラーニングを用いた学習プログラム参加による学習者・学習支援者としての影響、③組織への影響とする。 研究成果の発信として、まずは、国内学術集会にて、学習プログラムの中での管理期保健師の組織マネジメントに関する行動目標の達成につながるリフレクションの様相について報告する。その後、学習プログラムの成果、学習を促進する条件について報告していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に実施した研究班会議やピア・ラーニング・プログラムは、COVID-19の影響で、リモートでの実施となり、旅費が発生しなかった。また、COVID-19の感染拡大の影響で自治体保健師の通常業務の繁忙さを考慮し、ピア・ラーニング・プログラムを年度後半に実施した。終了時や終了後のデータ収集が2022年度にずれ込むこととなったため、予算執行を次年度へ繰り越すこととなった。
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