本研究は出生前コーホート研究である九州・沖縄母子保健研究のデータを用いて、衛生仮説と関連する胎児期及び2歳時までの乳幼児期環境要因曝露と3歳時以降におけるアレルギー疾患リスクとの関連について検討することを目的とし、研究を遂行している。 2年目となる今年度は、前年度に引き続き、コーホートの追跡、データ収集・管理、解析、論文執筆を行った。前年度に書き進めていた論文について、先行文献レビューやエビデンステーブル作成、交絡要因の検討等をさらに徹底し、共同研究者らと推敲を重ね、2本の論文を執筆し国際誌に投稿した。 ①母親の周産期における染髪の有無と5歳時における喘鳴及び喘息の関連:妊娠中、出産後4か月までの期間、両方の期間における美容院での母親の染髪と、子の5歳時における喘鳴及び喘息の関連を調べた。両期間において染髪をした群は、期間中一度も染髪をしなかった群と比較して、子の喘鳴及び喘息の有意なリスク上昇がみられた。一方、いずれかの期間のみの染髪との有意な関連はみられなかった。 ②乳児期の入浴頻度と3歳時における湿疹及びアトピー性皮膚炎の関連:出生後4か月時における入浴またはシャワーの頻度が1日1回と比較して、1日1回未満及び1日2回以上の頻度は、3歳時における湿疹及びアトピー性皮膚炎のリスク上昇と有意な関連を認めた。 以上の研究テーマは先行研究が不十分である中で、我々の研究は本テーマにおける貴重なエビデンスとなり得る可能性がある。
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