研究課題/領域番号 |
20K23138
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
中井 あい 高知県立大学, 看護学部, 助教 (60882933)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 中山間地域 / 独居高齢者 / 食環境アクセシビリティ / スクリーニングシート |
研究実績の概要 |
初年度は食環境アクセシビリティの特徴の明確化に関して、研究を進めた。研究者の所属の研究倫理審査委員会の承認後、実施した。まず、中山間地域において、空間分析により対象地域の地理的特性を可視化し、人口分布ならびに食料品店等の立地状況を俯瞰した。既存資料と併せこの結果をもとに、調査候補地を検討した。また、研究者の先行文献研究から抽出された食環境アクセシビリティの要素をもとに、インタビューガイドおよび質問紙を作成した。協力の承諾が得られた地域の組織を介して、社会情勢への十分な配慮ならびに実施への日程調整等を検討したうえで、地域で暮らす独居高齢者にインタビューと質問紙調査を実施した。調査項目は、簡易栄養状態評価、手段的日常生活動作、地域社会活動、環境的状況等であった。インタビュー記録を分析した結果、独居高齢者の食環境アクセシビリティには、摂食に関する機能、家族との距離感等の個人的要因、地理的特性をふまえた個人・集団・地域による社会資源の有効活用などの環境的要因にかかわるテーマが見いだされた。中山間地域という自然地理的環境下において、個人的要因と環境的要因が相互作用しながら密接に関連していることが明らかとなり、これらが食環境アクセシビリティの特徴として考えられた。さらに、協力が得られた地域のアセスメントを自然環境などの8つの側面から行った結果、過疎・高齢化の進展や交通機関等の不整備にともなう外出頻度の低下、地域コミュニケーションの希薄化等、人口生態学的特性と物理環境的特性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに中山間地域の独居高齢者の食環境アクセシビリティの特徴を、調査結果から抽出することできた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策として、得られた結果をもとにスクリーニングシート案を作成する。さらに、スクリーニングシート案の内容に関して、中山間地域の多機関の保健医療等専門職および中山間地域の独居高齢者個別に評価を依頼する。その結果をスクリーニングシート案の内容に反映させ、洗練化を図り完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
社会情勢の影響により、調査範囲の拡大に困難が生じ、調査・分析にかかる経費等に支出が十分できなかった。
前年度予算を次年度に組み込み、スクリーニングシート案の洗練化のための調査経費および論文等成果発表に使用する予定である。
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