研究課題/領域番号 |
20K23143
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
遠山 義人 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教 (10880213)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 若年成人 / 男性 / がんサバイバー / 性 / 生殖 |
研究実績の概要 |
本研究は、性機能障害や妊孕性の低下/喪失に直面した、もしくはその可能性があると告げられた若年成人男性がんサバイバーの経験の構造を明らかにし、彼らへの実践的な支援を構築するための基礎資料を得ることを目的としている。 令和2年度は、若年成人男性がんサバイバーの性・生殖に関する経験と支援の現状、ならびに課題についてより明確になるよう、先行文献や複数の患者支援団体の代表者へのヒアリングによって調査を進めた。 文献検討では、若年成人男性がんサバイバーの性や生殖に焦点を当てた研究は国内外共に希少ではあるが、当事者にとって性や生殖の問題は人生の選択に大きく影響を与えるものであり、支援のニーズを有している一方で、支援を求められない現状があることは示されていた。 また、がん患者支援団体の代表者であるがんサバイバー3名へのヒアリングを実施し、ピアにおいても性・生殖の話題は挙げづらいということ、特に男性に関しては性・生殖に関する情報が少なく一人で悩みを抱えていることが多いということ、互いを知っている人よりも「研究者」という立場の人の方が、性や生殖に関する経験を語りやすいのではないかという意見をいただいた。既存の支援では、ピアサポートの重要性が挙げられている一方で、性や生殖に関する支援はピアでも行いづらい現状が明らかとなった。 性・生殖に関する支援ニーズを抱える一方で、その経験を表出できないことから支援構築がなされていない現状があり、早急な取り組みが必要であることを確認した。これらの情報を踏まえ研究計画を修正し現在研究倫理審査に申請中である。 令和3年度は、文献検討を系統的にまとめると同時に、研究倫理審査後に参加者募集・インタビューを開始し、彼らの経験の構造を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は教職初年度であることから業務が不慣れであったことや、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い例年よりも増大した業務量により、予定していた研究時間を確保することができなかったため、取り組み開始が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度前期では、研究倫理審査で承認が得られた後、速やかに研究参加者募集を行い、インタビューによるデータ収集/データ分析を開始する。並行して、令和2年度に達成できなった文献検討の学会発表・学術誌への投稿を目指す。 令和3年度後期では、インタビューデータの分析と追加インタビューを行い、彼らの性・生殖に関する経験の構造を明らかにし、学会発表・学術誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で学術集会そのものの中止や開催方法の変更によって、国内外における旅費がかからなかった。また、データ収集開始時期が遅れたことにより、謝金等がかからなかった。 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の動向によって渡航が可能か現状ではわからないが、学会等の開催方法変更に伴う電子機器等の環境整備を行うと同時に、令和2年度分に実施できなかったインタビューを実施することで、繰越金を含めた助成金を活用し研究を進めていく。
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