研究課題/領域番号 |
20K23146
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研究機関 | 人間環境大学 |
研究代表者 |
藤田 碧 人間環境大学, 松山看護学部, 講師 (70881358)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 保護者支援プログラム / 保健師 / 愛着形成 / 体罰等によらない子育て / CARE |
研究実績の概要 |
児童虐待防止法の改正を受け、体罰等を用いない子育ての方法について、保護者の支援をすることが保健師の新たな役割となった。しかし保健師基礎教育の段階では体罰等によらない子育ての技術や保護者指導については学ぶ規定となっていないことから、保健師がそのような支援技術を持っているかどうかについて文献検討を行った。保護者支援プログラムの地域保健の場での実施については少数の文献しか見当たらず、また文献で報告されている取り組みの多くは児の発達障害などの課題についての二次予防段階のものだった。愛着形成を目的とした一次予防目的のものはほとんど見当たらなかった。しかしながら、文献中での保護者の変容過程に着目すると、保護者支援プログラムに参加し、系統だてた学習・保護者がわが子に学びの内容を実施し、わが子の変化について保健師から肯定的なフィードバックを受けること、また参加者同志のピアサポートにより、習得した養育技術が定着することが共通して確認された。この過程は保健師が従来から行ってきた統合的な支援技術であり、「体罰等によらない子育ての支援」そのものには新たに学びが必要であっても、保健師は体罰等によらない子育ての支援に貢献できる可能性が見いだされた。 これについて、第9回公衆衛生看護学会学術集会及び第66回四国公衆衛生研究発表会でオンデマンド形式の口演で研究発表をした。 同時に研究者も、本研究で実施する保護者支援プログラムであるCARE、およびその上位プログラムであるPCITについて、オンライン形式での研修を受講し、プログラム実施の技術習得をし、また会場形式でなく遠隔形式での開催の手法について新たに開発された技術の習得を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域保健の場での愛着形成を目的とした保護者支援プログラムの実施に関することや、保健師が体罰等によらない子育ての支援に資する可能性について検討をした。それらについて学会での報告をした。 また介入研究の実施に先立ち、研究者の支援の質の確保のために保護者支援プログラムの研修受講、COVID-19流行による対面交流の抑制後に開発されたオンライン形式での保護者支援プログラムの開催手法についての知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究者の所属大学の変更があったため、現在の所属大学の近隣地域で、保護者支援プログラムの介入研究の対象者やその協力を得る機関を新たに探索する。実施の見通しが立てば、倫理審査を経て、研究計画通りに夫婦単位でプログラムの受講を希望する対象者を募り、CAREプログラムの実施し、コンサルテーションを得て対象者の人権を保護しながら効果的な開催をする。プログラムの実施前後に、夫婦それぞれの属性等と、わが子に対する育児上の感情、養育行動の変化について心理尺度やインタビュー法を用いて把握し、介入前後での変化を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の所属大学の変更が生じることが明らかになり,2021年度所属大学で,研究協力者を募集し計画にある保護者支援プログラムを実施することになった。 また研究に先立ち必要であった研究者自身が受講する研修の開催が,COVID-19の影響で開催時期の遅れや少人数定員で受講不可の状況が続いた。2021年の1-3月にかけてオンライン研修での受講をし,研究で実施予定の保護者支援プログラムであるCAREのファシリテイタ―資格更新,およびその上位資格であるPCITの初期研修を完了した。 交通費については,当初計画していた学会及び研修はすべてオンライン開催となったため発生しなかった。
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