令和3(2020)年4月より親権者によるしつけを目的とした子供への体罰を禁止する改正児童虐待防止法の改正が施行された。法改正に当たり発足した有識者会議はガイドライン「体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に ~」(以下GL)を作成するとともに、親子保健行政などの役割として、保護者支援プログラムの提供を含めた子育て支援施策の拡充を提案した。本研究では下記を行い、研究1)2)の知見を4回の学術集会で報告した。得られた知見を踏まえた保護者支援プログラムの提供を計画した。実践は研究期間終了後になるが、実践と効果検証をし、体罰等を用いない子育ての実現のために有用な手法の提言を継続して行う予定である。 研究1)親子保健の場での保護者支援プログラムの実施状況の把握と有効な手法の検討:市町村等で一次予防・二次予防目的で行われた保護者支援プログラムでは保護者・子どもともに好ましい変化がみられ、たとえ虐待予防が主目的でなくとも、副次的に保護者の不適切な養育行動が減ることが確認された。また、プログラム内容そのもの以外にも、保健師等のプログラム指導者は受講者感のピアサポートの情勢や個別性を踏まえた相談等の支援を展開していた。このような複合的・発展的な継続支援の展開は従来から保健師が行ってきたものであり、「体罰等を用いない子育ての相談や助言」自体は新たな学習が必要だとしても、保健師は体罰等を用いない子育てを支える社会の実現に貢献しうると考えられる。 研究2)保護者支援プログラムに参加した保護者がプログラム内容を習得するプロセスの検討: プログラム受講による保護者の変化について、プログラムの種類を問わず共通したプロセスが見出された。プログラムの提供手段は行政機関ごとに異なる可能性があるが、このプロセスを経る企画を実装することで効果的な保護者支援ができると考えられる。
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