研究実績の概要 |
本研究では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大が介護保険下のリハビリテーションに与えた影響を検証するために、介護保険事業所を対象としたアンケート調査、事業所へのヒアリング、及び、レセプトデータの解析を行なった。 介護保険事業所を対象としたアンケート調査では、令和2年1月から令和2年12月の間に通所リハビリ事業所では17%、通所介護事業所では31%、訪問リハ事業所では14%が休業を経験していたことが明らかになった。また、多くの事業所で他者との接触を避けることを目的とした介護保険サービスの利用自粛が確認され、利用自粛者には身体機能の低下、活動意欲の低下等の変化が生じていたことが明らかになった。 レセプトデータの分析はパーキンソン病患者に焦点を当てて実施し、通所リハビリ及び通所介護のサービス利用状況、及びサービス利用回数の減少と要介護度の変化との関係を検討した。2019年11月1日から2019年12月31日を流行前期、2020年4月1日から2020年5月31日を流行期と定義したところ、流行前期と比較して流行期にサービスの利用回数が60%以上減少した者の割合は34%、流行期のサービス利用が無かったものは18%であった。また、2020年6月1日から2021年3月31日までを観察期間と定義して、観察期間中の要介護度の悪化をアウトカム、流行前期と比較して流行期におけるサービスの利用回数の60%以上減少を曝露としたロジスティック回帰分析の結果、利用回数の減少は要介護度の悪化と関連していた(オッズ比: 1.61, 95%信頼区間: 1.18-2.22, p=0.003)。 本研究結果は、振興感染症の流行下においてもリハビリテーションの提供を継続することが重要であり、振興感染症流行下においてもリハビリテーションを継続するための対策を検討することが必要であることを示唆している。
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