研究課題/領域番号 |
20K23155
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
坂本 和貴 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 博士研究員 (00880030)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 認知症 / レビー小体型認知症 / 嗜銀顆粒性認知症 / Voxel-based morphometry / BPSD / NPI |
研究実績の概要 |
認知症の行動・心理症状(BPSD)に着目した研究は主にアルツハイマー病(AD)を対象としたものが多く、ADと鑑別が難しいとされるレビー小体型認知症(DLB)や嗜銀顆粒性認知症(AGD)を対象とした研究は殆どない。本研究は、脳MRI画像の代表的な解析手法であるVoxel-based morphometry(VBM)の先行研究の限界や制限を改善し、DLBとAGDにおけるBPSD発症のメカニズムの解明と効果的な予防・介入法を検討することが目的である。R2年度はデータ取得、解析、解析結果と先行研究の対比、まとめを行うこととしていた。 はじめに文献レビューを行った。Pubmedを使用し、認知症疾患(AD/DLB/AGD)+脳画像解析手法(VBM等)+BPSDおよび評価尺度(Neuropsychiatric Inventory: NPI/Dementia Behavior Disturbance Scale: DBD)を検索ワードとし検索した結果は2021年2月時点で42件見つかった。次に要旨を確認し18件まで絞った。結果をまとめると、対象疾患はADが16件あり、DLBおよびAGDを対象とし症状まで連続して解析した研究は見当たらなかった。脳画像解析手法ではSPMが2件、VBMが13件、Freesurferが4件あった。BPSD評価尺度ではNPIが16件あり、DBDはなかった。症状別では、アパシーが6件あり最も多かった。 次に、これまで蓄積された脳画像データを利用して、疾患の群間解析を行った。SPM12を用いて、AD209例とDLB60例のVBM解析を行った結果、ADではDLBと比較して海馬の解剖学的構造に一致した部位が優位に萎縮しており、これまでの過去の報告と矛盾しない結果になった。 今後、各疾患の症例数を増やして群間解析を行い、NPIの各症状の点数をデータ化して相関解析を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、来院する患者数が減少し、リクルートに難渋している。また、感染防止対策として共同研究施設間の往来が困難であり、データ解析に予定より時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
R3年度では、オンラインを活用して共同研究施設と連携し、データ取得、解析を継続して進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
R2年度は、データ取得および解析を行う上で、自施設と共同研究施設間を直接訪問する必要があった。しかし、COVID-19の影響で施設間の往来が困難になり、旅費等に未使用額が生じた。R3年度では、オンラインで研究を進めることができる環境を整えるとともに、施設間の往来が可能になった場合は直接訪問し、データ取得および解析を行う予定である。未使用額はその費用に充てることとしたい。
|