研究実績の概要 |
1.令和5年度の研究成果 成果をまとめ、論文を執筆した。現在投稿中である。 2.研究期間全体を通じて実施した研究の成果 在宅ワーク時の睡眠や精神健康度への影響の現れ方は生体時計特性で異なる可能性と生体時計特性が在宅ワーク時の睡眠と健康に緩衝または相乗効果をもたらす可能性があるが十分に検討されていない。本研究ではCOVID-19の感染拡大に伴い在宅ワークを導入した労働者を対象に、生体時計特性(クロノタイプ)別の在宅ワークの健康影響を明らかにすることを目的に研究を進めた。 令和4~5年度に製造業企業1社とその関連会社に所属する成人労働者を対象にWEBアンケートを行い、職場出勤時と在宅ワーク時の睡眠・健康指標(不眠、睡眠時間、精神健康度、疲労回復、心理的距離)を調査した。主要アウトカムを主観的不眠、副次アウトカムを睡眠時間、精神健康度、疲労回復、心理的距離とした。分析は働き方とクロノタイプの2要因で二元配置分散分析を行った。共変量に年齢、性別、労働属性と在宅ワーク日数を投入したモデルを構築し主効果と交互作用の変化を確認した。 1,262名がアンケートサイトにアクセスし、1,114名より回答を得た。在宅ワーク日数が週1日以下など除外基準に該当する者を除き最終解析対象は587名であった。集団全体において在宅ワーク時は職場出勤時より時間外労働時間が短く、睡眠時間は長く、不眠の程度と精神健康度が良く、疲労回復していた。在宅ワーク時の睡眠時間は職場出勤時より17分長かった。クロノタイプと働き方の交互作用は睡眠時間と疲労回復に見られ、夜型が在宅ワークをする時より睡眠時間が長く、疲労回復した。この作用は年齢で調整すると消失した。在宅ワークはクロノタイプの違いに関わらず労働者の睡眠と健康に保護的な働き方である可能性と、年齢の影響を認めるものの特に夜型に利点が大きい働き方である可能性が示唆された。
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