研究課題/領域番号 |
20K23161
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
安川 純代 岡山大学, 保健学域, 助教 (80618950)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 大規模災害 / 循環器疾患 / 生活習慣病 / 避難 / 高血圧 / 縦断解析 / 出産経験 |
研究実績の概要 |
本研究は福島県「県民健康調査」の結果を解析し、1)東日本大震災の大規模災害後における避難経験が、精神的ストレス耐性や生活習慣病、循環器疾患との関連について与える影響を出産経験の有無別に疫学的検討すること、2)出産経験の有無によるアウトカムへの影響要因を具体的に明らかにすることを目的とした。目的1)に対し、前年度までに横断解析ならびに縦断解析を行った。2021年度は、さらに追跡期間を延長して縦断解析を行った。平成24年度にこころの健康・生活習慣に関する調査に回答した40 -90歳までの女性15,723人を対象とし平成28年度まで追跡した。震災後における仮設住宅、借家・アパートでの居住経験者を避難経験有とし、避難経験と脳卒中、心臓病、全循環器疾患との関連について出産経験の有無別にCox比例ハザードモデルを用いてハザード比(95%信頼区間)を算出した。【結果】対象女性において出産経験無390人(8.8%)、避難経験有9,093 人(57.8%)であった。出産経験有群において避難経験有の女性は、避難経験無の女性と比べて脳卒中、心臓病、全循環器疾患の年齢調整ハザード比が高く、循環器疾患の要因を多変量調整後は心臓病と全循環器疾患においてハザード比が高かった。さらに高血圧、脂質異常症、糖尿病の既往歴を多変量調整後、出産経験有群の避難経験有の女性は、避難経験無の女性に比べて心臓病の高いハザード比が認められた。出産経験無群において、避難経験の有無による有意な関連は認められなかった。【考察】出産経験無群よりも出産経験有群の避難経験有の女性における循環器疾患リスクの高いことは昨年度と同じ結果であった。なかでも心臓病は、出産経験有群の避難経験有の女性において避難経験無の女性に比べて心疾患の関連要因調整後もリスクの高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、本研究目的に対して2021年度までに横断解析および縦断解析を実施している。横断解析結果については学会にて結果公表した(第79回日本公衆衛生学会 於京都)。COVID-19の感染進行状況により、学会発表での公表や論文化をすすめていくうえで、研究協力者と直接協議が行えず詳細な内容を検討できない状況が継続した。可能になり次第、内容の検討と共に精力的にすすめていくこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
縦断解析結果について、目的2)の検討をすすめ、学会発表ならびに英文ジャーナルへ投稿予定とし、研究協力者とも協議をすすめながら計画的に研究を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を論文にするために必要な経費が残額として生じており、今後論文を執筆して、英文校正やジャーナル掲載料などの用途として執行予定である。
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