本研究は、地震、津波、原子力発電事故の複合大災害の東日本大震災後に実施された福島県県民健康調査による大規模コホートを用いて、災害後に精神的、身体的健康に対する影響の大きい避難生活を送る女性への影響を出産経験別に検討した研究である。女性は性差による脆弱性から災害後に精神的、身体的側面と社会的側面により影響を大きく受けることがいわれている。本研究から、出産経験のある女性では、災害後における精神的苦痛やトラウマ反応、また心臓病への影響が大きく、日頃からの社会資源や医療体制の充実、特に避難生活での意識的な性別的配慮による対策、家庭内及び社会的役割遂行が継続可能なサポートの必要性と重要性を示唆した。
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