研究課題/領域番号 |
20K23162
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
橋野 明香 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (50814125)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2023-03-31
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キーワード | COPD / ストレス / 日常生活動作 / アプリ |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)患者は、気流制限に伴う呼吸困難や慢性的な咳・痰により日常生活動作や社会生活が制限され、うつ状態や不安症状からうつ病となり、引きこもりや寝たきりなどQOLが低下する。呼吸困難などの症状などにより動作や活動が制限されることが負のストレスと認識されると、精神的健康が損なわれるとの先行研究はあるが、ストレスを測定した研究は見あたらない。研究者は、ストレスの蓄積によりうつ状態などを引き起こし、QOLが低下するのではないかと考えた。本研究では、日常生活動作前後でCOPD患者がどの程度ストレスを感じているのかを観察するため、主観的評価アプリと耳式デバイスを用いてストレス指数の数値化を目指す。日常生活動作は、食事、排泄、入浴、更衣、整容、室内移動、外出、睡眠の8つの動作とし、日常生活動作前後で患者はアプリの入力と耳式デバイスにて心拍数と呼吸数を測定する。アプリでは主観的評価として息苦しさや動作することによる自覚するストレスおよび陽動感情を入力する。 本研究を実施することにより、COPD患者が日常生活動作に対して感じるストレスが数値化される。特に、ストレスを感じる動作に対しては、ADL指導や呼吸リハビリテーションの強化など、適切なタイミングや教育内容で介入することができ、患者がストレスマネジメントを行うことができれば、うつ状態や不安状態に陥らずQOLを維持することができるのではと考える。 現在、患者に入力してもらうアプリを開発し実装することができた。今後、耳式デバイスから得られた心拍と呼吸のデータを適切に保存し、解析するための方法について調整する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
3月末には、テスト使用により微調整を行い、患者本人に入力してもらうアプリの開発は終了した。アプリ入力と同時に測定する耳式デバイスでの音声データの保存方法について、現在検討・調整している。新型コロナウイルスにより、研究協力者との会議が滞り、また、デバイスの納期に遅れがでるなど研究の進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、音声データの保存およびクラウドへの送信方法について、研究協力者が調整を行っている。データの保存が可能となり次第、タブレット端末へのアプリなどのダウンロードを行い、テストを実施する。 7月頃には対象者のリクルートができるよう、今後も2~3週に1回の研究会議を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリの開発費用が、初年度に計画していた使用額を上回ってしまったため、年度途中に前倒し請求を行った。本来は、年度内に患者リクルートを行うため、SIMカードの契約などの予定であったが、現在音声データの保存方法に関する解決策を検討しているため、これらに使用する助成金は次年度以降に使用することとした。 翌年度では、SIMカードの契約および令和4年度の保守料、対象者への謝金、日本呼吸器学会参加費などとして使用する予定である。
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