【背景】高齢者の健康寿命と社会参加の関連は高く、国内でも多くの研究がなされている。高齢者の社会的フレイルのある人では、ない人に比べて、身体的フレイルのリスクが高いという報告があるなど、社会参加やソーシャルネットワークが低下している高齢者は、要介護認定リスクが高まると考えられている。本研究では、国のフレイル予防施策として取り組む住民主体の通いの場を、オンラインで集う方式を取り、「遠隔通いの場」においても、高齢者の生活機能、QOLの維持向上を図ることができるかを検証する。 【目的】オンラインによるWEB会議システムを利用した「遠隔通いの場」が、地域在住高齢者のQOLの向上に関連するかを明らかにすることとする。 【方法】対象者募集について、まず地域包括支援センターへ活動実施の相談をし、地区民生委員の紹介を得た。民生委員から推薦を受けた地域在住の65歳以上の高齢者に活動の目的と内容の説明を行い、参加同意を得られた人を対象とした。ファシリテーターを民生委員が担当し、実施するプログラムは民生委員と参加者が相談の上決定した。用いたWEB会議システムは、ギンガシステム社製の「Loop-Gate」を使用した。オンライン交流の場は、高齢者グループで毎週1回全8回開催し、最終回に参加者、民生委員の双方に対しアンケート調査を実施しQOLを評価した。 【結果】地域在住高齢者6名が参加した。当初計画では6名1グループの集団を2グループ実施予定だったが、COVID-19感染拡大状況により、1グループは中止となった。活動時間は1回につき約40分間、8週間にわたり合計8回実施した。参加者の自宅をネットワークでつなぎ、計画したプログラムを実施した。QOLは地域の交流が増し、健康感、社会生活機能、心の健康の面で効果が見られた。オンライン通いの場においても、高齢者の機能維持に寄与できる効果が見られた。
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