研究課題/領域番号 |
20K23172
|
研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
河田 照絵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (40438263)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 慢性呼吸器疾患 / ACP |
研究実績の概要 |
本年度は、慢性呼吸器疾患患者の療養支援を行っている熟練看護師が病期の移行期にどのように将来の希望や、患者・家族の価値に対する話し合いを行っているのか、意思決定を支えているのかなどACPに関連する実践をどのように行っているのかを明らかにすることを目的としたインタビュー調査を実施した。結果、5名の看護師にインタビューを実施した。 結果、看護師の語りから、熟練看護師が捉える病期の移行期とは、在宅酸素療法の導入時や急性増悪時以外にも、身体症状が増えたり新たな合併症の出現、症状の辛さや苦しさが増してくる時期、生活の中で困難さを感じ始める時期、役割が変化する時期、会話の内容が遠い話から近い将来の話に変化し始める時期などが含まれていた。慢性呼吸器疾患患者へのACPの支援として、診断初期から安定期の関わりと、揺らぎ波が生じる下降期の関わりがあり、それは分断されたものではなく、プロセスとしての継続的な支援であった。安定期には関係性を絶やさない顔の見える関係性を継続し、患者が生活の中で大事にしていることや価値観、現在の生活など、日常の雑談と思われるような会話から体調の変化を探っていた。また、揺らぎ波が生じる下降期にはタイミングを見計らう支援、症状をマネジメントし苦しさを和らげる支援、語りを促す支援などが含まれ、少しずつ先の経過を予測できるように関わるとともに、患者と家族をつなぐ関わり、医師と看護師、チーム、地域をつなぐ関わりなどを行っていた。また、意思決定支援については、いつ揺らぐかわからない選択であり、本人が大丈夫と思えるゴールや今の選択を支える支援を行っていることが明らかになった。 今後、これらの結果を踏まえて、熟練看護師が慢性呼吸器疾患患者のACPを支援する看護モデルについて検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は看護師へのインタビュー調査を実施していた。感染予防対策なども踏まえたインタビュー方法への変更や研究参加者の募集の遅れなどから研究計画の実行が遅れた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、2021年度に実施したインタビュー結果の分析を通して、現行の慢性呼吸器疾患患者に対するACP支援の文献等との比較、検討を行っていく。本研究の結果を踏まえて、より具体的な看護師の役割を見出していき、学会等での発表を通して、専門家からの意見や示唆を得つつ、看護モデルの開発につなげる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍に伴う研究計画(インタビュー)の遅れのため、研究にかかる費用の支出が遅れたため。また、研究計画で検討していた研究依頼やインタビュー、学会参加等についてオンラインへ変更となったため、費用が掛かっていない。 2022年度は研究データについて分析、ケアモデルの作成、成果発表を行うことを計画していくため、必要な文献や成果発表のための費用、スーパーバイズを受けるための謝金などとして研究を使用する予定である。
|