本研究は、妊娠後期からの継続したアロマセラピーによって、分娩前後の精神状態に与える影響および研究の実行可能性を検討することを目的とした。 研究デザインは、パイロットランダム化比較試験である。研究対象者は、20歳から45歳までのローリスク妊婦とし、除外基準は、1)嗅覚障害、2)喫煙者、3)精神病・内分泌疾患の現病歴、4)食品・薬品でのアレルギーが複数ある者、5)植物との接触・精油使用によりアレルギー症状を呈したことがある者等を設定した。 介入群では、オキシトシン分泌を上昇させる精油をオイルと混合し、球体状の先端部分より直接肌に塗布が可能なロールオン形式の容器に充填して使用した。対照群では、容器にオイルのみ充填して使用した。介入は、妊娠38週頃から分娩開始まで、分娩中(任意の使用)、分娩後2週間までを使用期間とした。朝・昼・夜・就寝前の1日4回を推奨使用回数、両手首および両耳の裏の合計4か所への塗布を推奨使用箇所に設定した。評価尺度は、EPDS、STAI状態不安、睡眠状態(VAS)、実行可能性、および高畑が日本語版を作成したFear of Birth Scale(FOBS)を用いた。 関東の一施設の協力を得て、リクルートおよびデータ収集はオンラインで行った。リクルートの対象は妊娠28週以降の妊婦であり、介入開始は妊娠38週とした。データ収集は、介入前、介入1~4週間後、産後早期、産後2週間以降に実施した。自動無作為割付ソフトを用い、産歴が2群で同程度となるよう層化置換ブロック法を用い、参加希望順に2群に割り付けた。研究参加者は42名であり、うち介入群20名、対照群18名の合計38名が解析対象となった。有害事象等は発生しなかった。
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