研究課題/領域番号 |
20K23190
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 茜 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (90883215)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | 緩和ケア / 看護 / クリティカルケア / 救急看護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、救命救急センター(ER)や集中治療室(ICU)などのクリティカルケア領域における緩和ケアに対する態度や知識・障壁を医療者の視点から明らかにすることである。本調査は、医療者の中でもとりわけベッドサイドで直接的に緩和ケアを提供する立場にある看護師に焦点をしぼり、質問紙調査を行った。また、対象をクリティカルケア看護に精通している認定看護師・専門看護師に絞って調査を行った。質問紙調査からは、緩和ケアの定義や緩和ケアを必要としている症状や状況について、広い範囲で理解をしていることが明らかとなった。一方で、心理・社会的苦痛、およびスピリチュアルな苦痛に対する実践が不十分であることが明らかとなった。また、緩和ケア提供の障壁として、知識・技術不足があげられた。以上の結果について、現在国際誌への投稿の準備を行っている。 また、以上の質問紙調査において心理・社会的苦痛に対するケアが不十分であったことから、これらのケアがそもそもどのように実践され、どのような点に困難感を抱いているのかをスペシャリストへのインタビューから明らかにした。スペシャリストらは「過去に経験した患者の表出する苦痛と照らし合わせる」「正常からの逸脱を苦痛のサインと受け取る」などを繰り返すことで、数値では表現できない心理・社会的な苦痛やスピリチュアルな苦痛に対しケアを行っていた。この結果についても、現在論文投稿の準備中である。 これらの調査から、一般的に人間が感じる苦痛に関する基礎的な知識を身に着ける教育の機会を設けるだけでなく、経験を適切に積み重ねることができるようなサポート体制の構築の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19により、インタビュー調査のリクルートに難渋した。スケジュール自体が延長したが、すでに調査は終えられており論文投稿を残すのみである。
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今後の研究の推進方策 |
調査は終えており、論文投稿を行っていくのみである。この調査結果から得られた結果および考察をもとに、今後はケアの受け手である当事者側の側面を調査し、日本のクリティカルケア領域における緩和ケアについて包括的な現状分析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は調査を終え、論文執筆を中心に行ったため助成金執行をあまり要しなかった。次年度は論文執筆草稿作成のための印刷用紙等の購入に使用する。
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