本年度は、成果公表の準備を行った。得られた知見を3つの側面から考察を行った。 ①クリティカルケア領域のスペシャリストナースの基本的緩和ケア実践の現状とその障壁について:日本のクリティカルケア領域のスペシャリストナースは身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛に対する実践は不十分であると認識しており、その背景には知識や技術の不足が挙げられた。 ②クリティカルケア領域のスペシャリストナースが実践する症状緩和および専門的緩和ケアの活用の現状とその障壁:クリティカルケアスペシャリストナースは、疼痛に関する症状スクリーニングは日常的に行っているが、その他の症状についてはスクリーニングがあまり実施されておらず、症状マネジメントに困難感を抱いていた。その一方で、専門的緩和ケアに相談することはあまりなく、その障壁には休日や夜間にタイムリーに相談できないことが挙げられた。 ③ケアの目標の話し合いに対するスペシャリストナースの関わり方とその後の対応について:クリティカルケアスペシャリストナースであっても家族カンファレンスに必ず参加する者は少なく、話し合い後も繰り返し医師と協議したり、家族の意思の変化を確認したりしている者は少なかった。スペシャリストナースは、カンファレンスで治療の中止が決定した後に一般病室への転棟や個室への移動は重要であると考えていた。
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