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2020 年度 実施状況報告書

救急現場における腸閉塞及び消化管穿孔画像診断補助システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K23191
研究機関名古屋大学

研究代表者

安井 昭洋  名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80882828)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワードイレウス / 消化管穿孔 / 画像診断支援システム
研究実績の概要

救急医療現場における人工知能(AI)腸閉塞(以下イレウス)及び消化管穿孔(フリーエアー)画像診断支援システムを開発中である。腹部救急疾患の中でもイレウスや消化管穿孔は頻度が高く、的確な診断が難しいのに加えて、病態を見誤ると経過観察で生命に危険が及ぶことのある重篤な疾患である。救急現場では軽症から重症まで様々な腹部救急疾患の患者が受診する。一見軽症に見える中に重症患者が潜んでいる。なかでも手術を必要とするイレウス及び消化管穿孔画像の適切な判断は非常に難しい。夜間救急現場では最低限、見落とすと命取りになる病態を見逃がさないことが重要となる。イレウスでは腸管の閉塞や絞扼(こうやく)によって腸管が虚血に陥り壊死する(絞扼性イレウス)と、全身状態が突如として悪化し死亡することもあるため、迅速かつ的確な診断が必要である。しかし症状は腹痛・腹部膨満・嘔吐など、一般的な腸炎と同様のものであるため、簡単に腸炎とイレウス、消化管穿孔を鑑別することはできない。しかも腸管の血流障害を伴うようなイレウスの場合には、診断が難しく緊急手術で閉塞起点の解除を行わなければ腸管壊死から死にいたる救急疾患である。拡張した腸管をCT画像中において追いかけるのは、放射線科医や熟練した外科医にとっても細心の注意を払って行わなければならない難しい技術であるが、救急外来で働いている研修医や若手の医師では判断が困難なことも多く、しばしば閉塞起点を判断することができず診断・治療が遅れる。また、腸管の虚血の有無は血管造影剤を用いたCT(造影CT)で判断されるが、腸管の造影不良の有無を判断することも研修医・若手外科医では難しい。そこで専門医でない近隣の医師が腹部救急疾患であるイレウス及び消化管穿孔を画像診断し、緊急手術の必要性の判断をサポートするシステムを構築を目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

50症例 約500スライスの腸管内領域を手塗りし、CT画像から腸管内領域を推定できる深層学習モデルを構築した。診断支援システムで、先ず学習済みのモデルを用いてCT画像から腸管内領域を自動描出し、閉塞部位の候補領域を確認することに成功した。
腸管内腔の拡張が十分、かつ腸管壁が明瞭に造影されるようなCT画像では腸管内領域を良好に描出可能であった。

今後の研究の推進方策

来年度は更に症例数を追加し、今後の機械学習によりシステムの制度を上げることができれば、専門医不在の臨床現場において救急診療の補助が可能になると考えている。今後はイレウスと同時に消化管穿孔でも画像診断システムの有効性を検証する。

次年度使用額が生じた理由

オンライン会議が中心となった点と、当初の計画以上に研究が進んだために人件費・交通費を中心に次年度使用額が生じた。
来年度は、更なる学習モデルの作成に次年度繰越額を全額使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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