本研究は複数の精神科病院における死亡診断書に記載されている死因とカルテを照合することにより、実際に認知症が死因とされるべき割合がどの程度存在する のか等を明らかにすることを目的としている。認知症による死亡率が高いことを明らかにすることにより、認知症は死に至る疾患であることを啓発し今後の本邦 の正確な死亡統計調査に貢献する。さらには正確な認知症の死亡統計を算出することにより、認知症に対する適切な保健医療体制の確立や認知症の研究に寄与す ると考えている。 申請者は複数の精神科病院(22病院予定)で死亡診断書及びカルテ調査を行い、死亡者における認知症患者の真の割合や死亡診断書がどの程度正しく記載されて いるのか等を調査する。 令和2年度には栃木県内の複数の精神科病院(最大22病院)における死亡診断書を調査し、記載されている死因をカルテ等と照合しWHO の原死因選択ルールに従って再評価する。具体的にはカルテ病名に認知症が存在し、その進行により経口摂取が不可能にあり衰弱死した場合や嚥下障害 により 誤嚥性肺炎を繰り返し死亡した場合は認知症による死亡と判定する。それらの結果をもとに、認知症が死因とされる割合がどの程度存在しているかを算出する。 そしてそれらの結果が、実際に記載された死亡診断書とどの程度乖離があったのか等を明らかとする。さらに対象は平成21年度と31年度における死亡診断書とす る。これにより10年間でその割合がどの程度変化したかも検討する。 以上のように施行予定であったが令和3年度は感染拡大の影響で他施設に赴くことができず、研究調査を行うことができなかった。令和4年に入り行動制限が緩和されたため研究調査を行うことが緩和されたが、倫理規定が改定されたため、研究者単独で研究調査を行うことが困難となったため他施設に研究調査を協力いただいている状況である。
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