研究課題
本研究は、心不全患者における急性増悪時の症状マネジメント向上に効果的な看護支援方法を構築することを目的としている。本研究では、看護支援プログラムを構築し、効果検証することを最終目的としていたが、COVID-19の感染拡大を受け効果検証までは至らなかった。しかし、研究期間中に実施した2つの研究から、心不全患者の症状マネジメント向上に必要な看護支援について示唆を得ることができた。1つ目の研究では、心不全患者における急性増悪時の症状の体験について、インタビューデータをテキストマイニングの手法で分析することにより、患者が用いる表現の全体像を明らかにした。心不全患者が急性増悪時に体験した症状は、必ずしも医療者が用いる用語では語られず、多様な表現が用いられていた。心不全症状に関する教育の際には、患者が体験した症状を一緒に振り返り、患者の体験に近い用語を用いて症状の説明を行うことで、患者が実際に体験した症状と医療者がイメージする症状をすり合わせることが重要である。それにより、心不全患者の心不全症状の理解や症状マネジメントの向上に繋がる可能性がある。2つ目の研究では、米国で開発された心不全セルフケア尺度の日本語版を開発し、信頼性と妥当性の検証を行った。合計314名の心不全患者に対し尺度を用いた調査を実施し、各項目への回答から、日本の心不全患者における症状マネジメントの特徴が明らかとなった。わが国の心不全患者は、日々の体重測定や体調の変化に気を配ることができていた一方で、症状増悪時の早期の症状の認識や症状が変化した際の原因の解釈が困難であることが示された。急性増悪時の症状の早期の認識と適切な解釈は、心不全のさらなる増悪や再入院の回避に不可欠である。観察した体重や症状の評価方法や解釈に焦点を当てた介入の必要性が示された。
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Journal of Cardiovascular Nursing
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10.1097/JCN.0000000000000915