研究課題/領域番号 |
20K23207
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
星野 大地 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40881678)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 口腔機能 / 栄養状態 / 高齢者 / オーラルフレイル / 食品摂取の多様性得点 |
研究実績の概要 |
高齢者の健康寿命延伸には口腔機能と栄養状態を良好に保つことが重要である。特にフレイル対策の1つであるオーラルフレイル等の包括的口腔機能評価が注目されている。しかし、包括的口腔機能評価と栄養状態との関連を検討した報告は未だ少ないのが現状である。栄養指標の中でも食品摂取の多様性得点は、歯数や咀嚼機能との報告があるが、包括的口腔機能評価との関連は明らかにされていない。そこで本研究では、食品摂取の多様性得点とオーラルフレイルとの関連を明らかにすることを目的とした。 対象は、地域在住高齢者769名とした。口腔機能は、Tanakaらのオーラルフレイル定義(現在歯数、咀嚼機能、オーラルディアドコキネシス/ta/、舌圧、主観的咀嚼・嚥下困難感)に基づき評価した。また、栄養状態は食品摂取の多様性得点、その他に年齢、性別、居住状況、鬱傾向、飲酒・喫煙習慣、既往歴、IADL、握力等を評価した。 統計解析の結果、本地域におけるオーラルフレイルの該当率は21.2%であった。また、オーラルフレイルと食品摂取の多様性得点との関連を順序ロジスティック回帰分析を用いて検討した結果、オーラルフレイルの重症度は食品摂取の多様性得点と有意な関連を認めた(プレオーラルフレイル オッズ比:1.687 95%信頼区間:1.019-2.793, オーラルフレイル オッズ比:2.857 95%信頼区間:1.489-5.484)。本研究結果から、食品摂取の多様性得点はオーラルフレイルの状態を把握することに有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により予定されていた大規模調査を実施することができず、対象者数を絞って調査を実施した。本年度の研究停滞を防ぐため、これまでの蓄積された調査データを活用し、次年度に縦断的検討を行うための基礎解析を行った。包括的口腔機能評価と栄養評価に関するエビデンスについて、論文掲載によって研究成果を公表することができたため、2020年度の進捗状況を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は大規模調査の実施によりデータの収集を行い、過去の蓄積された調査データと連結してオーラルフレイルと栄養状態について縦断的検討を行う予定である。尚、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し調査事業が延期された場合は、研究計画を一部変更して過去の蓄積された調査データを解析して縦断的検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は大規模調査を実施せず、これまでに蓄積されたデータを用いて研究を行ったため、当初予定していた予算額を満たさず研究を遂行することが可能であった。次年度は大規模な調査事業の実施と過去の蓄積されたデータに基づき縦断的検討を行う予定である。調査事業の実施については、新型コロナウイルス感染症の情勢に応じて方法を検討する必要があると考えられる。
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