研究課題
前年度は包括的口腔機能評価の1つであるオーラルフレイルと栄養状態指標(食品摂取の多様性得点)との関連を報告した。口腔機能の低下は、栄養状態の低下と関連していることから、口腔機能の維持は高齢者の健康寿命の延伸を促進する上で重要な要素であると考えられる。高齢期の口腔健康管理には定期歯科受診が有効であるが、多面性を有する口腔機能に着目して定期歯科受診との関連を検討した報告はない。高齢者の口腔機能と栄養状態の理解を深める上で、包括的口腔機能評価と定期歯科受診との関連を明らかにすることは必須であると考えられる。最終年度は新型コロナウイルス蔓延の影響によって、調査事業の中止・規模を縮小して行ったため、一部研究デザインを変更して現在得られているデータを解析し、オーラルフレイルと定期歯科受診との関連を検討した。地域在住高齢者720名を対象に、基礎情報、認知機能、身体機能、口腔機能(オーラルフレイルの口腔機能評価6項目中、1-2項目に該当した場合をプレオーラルフレイル群、3項目以上該当した場合をオーラルフレイル群)、定期歯科受診に関する項目は、自記式の質問票を用いて過去1年間の定期歯科受診の有無を評価した。オーラルフレイルの重症度と定期歯科受診との関連を検討するため、順序ロジスティック回帰分析を行った。オーラルフレイルの重症度を従属変数とした順序ロジスティック回帰分析の結果、定期歯科受診の有無に有意な関連を認めた(Adjusted odds ratio (OR) = 1.90, 95%CI = 1.34-2.72)。本研究成果は、論文化し、国際ジャーナルへ投稿中である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
日本老年医学会雑誌
巻: 58(2) ページ: 245-254
10.3143/geriatrics.58.245