研究課題
研究活動スタート支援
本研究は近年急激に魚(特に底ものと呼ばれる魚介類)が獲れなくなってきている伊勢湾で長年漁をする高齢漁師らにインタビューを行い、彼らのライフヒストリーを描くとともに伊勢湾の衰退をめぐる漁師の認識をヨナスの責任の原理を参照しつつ記述したものである。漁師たちはこの現状を「自然の摂理」などとして了解しており、それは漁をする自分と拮抗する関係にある海の魚および他者の守り難さからもたらされるものであることを論じた。
文化人類学 老年看護
本研究は伊勢湾の衰退という現状をめぐる漁師の認識をヨナスの責任の原理を参照しつつ記述したものである。本研究ではまず、これまでのヨナスの議論においてあまり注目されていなかった点、すなわち「二次的な配慮」としての自然への責任という問題提起を取り出し、漁師として自分が生活することと他者を保護することの両立のし難さの中で立ち上がる認識のあり様を1つの責任の様相として論じた。このことは、いわゆる自然保護をいかにすべきかといった問いとは異なる、いわばもう1つの気遣いのあり方を描いたと言える。