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2020 年度 実施状況報告書

致死性乱用薬物の代謝経路解析:使用証明法の確立による薬物事件の原因究明に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 20K23217
研究機関地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所

研究代表者

東 雄貴  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (60880466)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード乱用薬物 / 危険ドラッグ / 合成カンナビノイド / 代謝物分析 / 構造解析
研究実績の概要

合成カンナビノイド系の乱用薬物は使用者による自動車事故や死亡事例が数多く報告されている。乱用薬物に起因すると推定される事故・事件が発生した場合、尿・血液試料から証拠として薬物を検出することが求められる。しかし、速やかに体内で代謝を受け分解される薬物は検出が難しく、代わりに代謝物の検出が必要となる。新規乱用薬物は代謝に関する情報が乏しいため、代謝が速い薬物では摂取証明や原因究明が困難である。そこで本研究では、強力な活性を持ち代謝が速い新規合成カンナビノイド1物質について、その代謝経路を解明することを目的とした。令和2年度においては、ヒト肝ミクロソームによる代謝反応を実施した。1.まず実験環境を整備するため、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝反応の条件を構築した。代謝酵素の反応を効率よく進めるため、小スケールで振盪条件や化合物濃度などの最適化を行った。各反応試料を液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-QTOF/MS)で様々な条件で分析し、得られたクロマトグラムの比較から分析装置の至適条件を決定した。2.1.の至適条件で実験スケールの代謝反応を行い、得られた精密質量から代謝物の組成式を求めた。さらにMS/MS分析によって得られた部分構造の精密質量から代謝を受ける部分構造を推定した。今までの分析結果から、いくつかの推定代謝物情報が得ることができている。今後は経時的にサンプリングを行い、各時間における代謝物の変遷から代謝経路を推定することを行う。さらなる構造解析により構造決定できれば、当該物質の摂取証明に用いる指標代謝物の発見が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

invitro代謝反応を行うための実験環境や新規合成カンナビノイド及びその代謝物を分析する条件を構築することが当初の予定より早く完了した。そのため、研究期間の2年目に予定していた代謝反応液を用いた代謝物の推定・構造解析を実施することができている。

今後の研究の推進方策

経時的にサンプリングを行う。各時間における代謝物の変遷及び新たに発見した代謝物の構造解析を実施することで代謝経路を解明する。また、構造の特異性及び生成量を元に、当該乱用薬物の使用の指標として適当な代謝物を提案し、その代謝物を標準品として作製できるか検討する。

次年度使用額が生じた理由

次年度は継続して行う新規合成カンナビノイドの代謝実験に必要な消耗品の購入が必要である。また、指標となる代謝物を選定後にその代謝物の作製法を検討する予定であり、新たな実験系を構築するための物品費が発生する。さらに、得られた成果を雑誌に投稿するなど発表活動のために投稿費用・人件費・旅費等が発生する。

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公開日: 2021-12-27  

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