研究課題/領域番号 |
20K23222
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西田 一貴 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30877072)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 診断メタアナリシス |
研究実績の概要 |
重症呼吸不全では、人工呼吸器による治療が必須である。人工呼吸器の治療期間が適切でない場合、人工呼吸器装着による合併症のリスクが増えるが、人工呼吸器の離脱(ウイニング)の可否を予測する正確な指標はまだ確立されていない。100ミリ秒の気道閉塞圧(P0.1)は人工呼吸器の治療下で容易に取得することができ、ウイニングの予測指標になりうるかどうか、いくつか検討されてきた。しかし、先行研究では各研究ごとにP0.1の閾値は異なるため、診断能力についての統一的な見解が得られていない。また、実臨床での運用、および後続の臨床研究に大きく活用されるためには、最適な閾値が決定されることが望ましい。本研究では、ウイニングに対するP0.1の診断能力をメタアナリシスにより統合し、最適な閾値について提案するのが目標である。
昨年度までの成果としては、ウイニングに対するP0.1の有効性について検討した先行文献の抽出を行い、異質性の評価を行い、診断メタアナリシスを実施した。最適な閾値については未確定であるものの、検査の診断パワーを表現する指標として陽性尤度比と陰性尤度比との比で定義できる診断オッズ比を算出した。これにより、P0.1はウイニングの可否について有意に診断能力がある、という結果が得られたため、先ずはこの成果について学術専門誌に研究論文として投稿した。ウイニングの可否の判別におけるP0.1の有効性は人工呼吸器の治療成績の向上に寄与するエビデンスの一つになると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
P0.1はウイニングの可否に対して有意に診断能力がある、というメタアナリシスの結果を学術専門誌に研究論文として出版することができた。一方で、診断能力の言及だけでは、臨床現場への実用は難しい側面もある。最適な閾値が設定されることで後続の臨床研究に組み入れやすくなる。よって今年度は最適な閾値についての検討を深めたい。閾値を求める統計的な方法論はいくつか提案されており、今回の研究に合致するものを適用するか、もしくは新たな手法を提案したいと考えている。
やや遅延している理由としては新規の手法を吟味するのに予想以上に時間がかかっているためであるが、今年度内に成果物の作成を目指し、現在進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の得られている成果に基づき、最適な閾値についての方法論の評価および実際への適用についてさらなる検討を行い、学会発表や論文投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析手法の吟味のため、当初の予定より学会発表や論文投稿としての成果物の作成が遅れている。主に今年度の研究成果をまとめるため及び発表費用として使用する計画である。
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