研究課題/領域番号 |
20K23223
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近田 藍 京都大学, 医学研究科, 助教 (10883647)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 原発性悪性脳腫瘍 / 意思決定支援 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、原発性悪性脳腫瘍である悪性神経膠腫患者の価値観や意思を尊重した医療・ケアの実現のために、悪性神経膠腫患者の診療・ケアの専門家が考える望ましいACPを明らかにし、患者自身が参加可能な看護師主導の多職種連携型ACP支援モデルを検討することである。 初年度である2020年度後半の半年間は、悪性神経膠腫患者の意思決定を支援する看護師・医師・MSWによるACPの実態および課題を明らかにする具体的な調査内容を検討するために、文献レビューおよび、関連職種からの情報収集を実施し国内外の動向を把握した。また、これまでの研究(患者を対象とした病いの体験に関する質的調査)から本調査につながる重要な知見を抽出した。同時に、遺族を対象としたACPの重要な中核概念であるEnd of Life Discussionに関する量的調査結果および日本におけるACPの推奨しうる在り方を明らかにすることを目的とした日本のACP文献を対象としたシステマティックレビューの結果を論文としてまとめた。これにより、診断後早期からのACPの開始が、患者の臨床経過を考慮すると最適であり、患者・家族にもそのタイミングが容認されうることが示唆された。患者の価値観を考慮した話し合いの実施率は約3割であり、看護師の参加率も低く多職種連携が不足している現状が明らかになった。同時に、患者・遺族が主治医以外の医療者を話し合いの参加者として認識していない話し合いがある可能性も考えられた。さらに、システマティックレビューでは、日本では、家族を含めた上で患者中心のACPアプローチが重要であることが明らかになった。これらの結果を踏まえ、現在は、悪性神経膠腫患者のケアに関わる医療者を対象とする面接調査に向けてインタビューガイドを作成しており、そのインタビューガイドをもとに質的調査を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス流行の影響で、他業務に予想以上のエフォートがかかり、本研究への取り組みが後ろ倒しとなった。また、新型コロナウイルスの流行に伴い、各方面への出張や会議が難しくなり、調査施設の依頼や調整が進まなかった。そのため、2020年度末に当初予定していた悪性神経膠腫患者の治療・ケアに関わる医療者を対象とした質的調査が開始できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は悪性神経膠腫の治療・ケアに携わるエキスパートを対象に、ACP支援の実態(患者の意向確認のタイミング、援助内容、多職種連携)および課題について、半構造化面接を用いて、質的調査を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行により、各方面への学会や会議の参加が困難となり、旅費を使用しなかったため。また、研究計画の遅延のため。
|