研究課題
社会の高齢化に伴う心房細動(AF)患者の増加は、我が国の医療経済に深刻な影響を与えている。近年のAF治療は急速に発展しており、カテーテルアブレーションや新規抗凝固薬、左心耳閉鎖デバイスなど、治療の選択肢は大幅に広がった。しかしながら、各治療の成績にはばらつきがあり、全てのAF患者に有効な治療法は未だに確立されていない。また、新規治療は従来のものと比較して総じて高額であるが、その費用に応じた治療効果が得られているのかは十分に検証されていない。そこで本研究の目的は、本邦で実施可能なAF治療の費用対効果を評価し、さまざまな状況下における最も費用対効果の高い治療戦略を確立することである。今年度は心房細動アブレーション後の再発予測に術翌日のホルター心電図評価の有用性を検証した。術後にみられる上室期外収縮が一定数を上回ると、再発リスクが上昇することを明らかにした。研究結果を全国学会で報告し、国際的な学術誌「Pacing and Clinical Electrophysiology」に報告した。心房細動アブレーション後再発予測精度を上昇させることで、リスクの高い患者に対して集中的にモニタリングすることが可能となり、資源の効率化に寄与することが期待できる。また、費用対効果分析に欠かせないQOLスコアの統一化を図るべく、心房細動患者のQOLスコアに関するシステマティックレビュー・メタ解析を計画した。研究計画はプロトコール論文として国際的な学術誌である「BMJ Open」に報告した。現在は本解析を実行中である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
Pacing Clin Electrophysiol.
巻: 46 ページ: 152-160
10.1111/pace.14648
BMJ Open
巻: 13 ページ: e067045
10.1136/bmjopen-2022-067045
HeartRhythm Case Rep.
巻: 9 ページ: 156-159
10.1016/j.hrcr.2022.12.002