研究課題/領域番号 |
20K23228
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
相賀 裕嗣 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (20884175)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 医療費 / ベトナム / ユニバーサルヘルスカバレッジ / 保健財政 / 健康保険 |
研究実績の概要 |
当初予定していた2020年度の活動のうち、①質問票(案)の作成、②倫理審査の申請(長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科ならびにハノイ公衆衛生大学)を行うに留まった。上記①ならびに②以外のほぼ全ての活動が、COVID-19パンデミック発生に伴うベトナム渡航禁止のため、完了はもちろんのこと着手さえできていない状況にある。現在、ベトナムへの渡航が可能になり次第直ちに現地調査が開始できるよう、可能な限りの準備を進めているところである。具体的には、上記①ならびに②に加え、ハノイ公衆衛生大学とのデータ収集業務に関する委託業務の契約締結に向けて準備を進めているところである。当初の計画では第1回目のベトナム渡航時にハノイ公衆衛生大学とのデータ収集業務に関する議論・合意形成・署名を行うことを想定していたが、第1回目のベトナム渡航目途が全く立たない現状に鑑み、定期・不定期な電子メールやオンライン会議によりハノイ公衆衛生大学とデータ収集業務に関する委託業務に関する議論・合意形成を2020年12月より開始している。これにより、2021年10月末までには同委託業務の契約書の締結がなされるよう、最善を尽くしているところである。また、委託業務内容の議論の経緯で、当初計画していた212世帯を夏・冬2回の計424世帯を対象にした調査は費用が嵩むため、現在の研究予算では困難であることが明らかになりつつある。よって、ハノイ公衆衛生大学の委託業務内容を、212世帯を対象にした2021年の夏の1回データ収集とする方向で現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年9月の本『研究活動スタート支援』の研究費交付の時点で、既にベトナム政府はCOVID-19パンデミック発生のため外国人の入国に制限を設けていた。即ち、ベトナム国籍でない外国人は、入国するために「特別入国許可」を取得しなければならない状態であり現在も方針に変更はない。我が国外務省も不要不急のベトナムを含む全ての外国への渡航を取り止めるよう国民に求め、JAL日本航空・ANA全日本空輸ともにベトナムへの定期便は運航しておらず不定期な特別便の運航に留まっている。また、小職の勤務先である長崎大学も教職員のベトナムを含む諸外国への業務上渡航(科研費による研究活動を含む)を原則として禁止している。このような理由から、ベトナムでの現地調査が必要不可欠な本研究の進捗は大幅に妨げられている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19パンデミックの現状に鑑みて、予断を持って計画を変更・再構築することは困難である。とは言え、日本側ならびにベトナム側の双方で日本人研究者のベトナム渡航と調査開始が可能となった際には速やかに実行に移せるよう、少なくとも渡航せずに実施可能な活動を可能な限り着手・完了させる所存である。具体的には、現在、質問票(案)の作成と日越両国での倫理審査の申請を進めている。さらには、まもなく、ハノイ公衆衛生大学とのデータ収集業務に関する委託業務に関する契約の準備も進めている。ベトナムでの1日当たりのCOVID-19新規感染者数は1桁台で安定的に推移してきているが、日本では現在第4波の最中であり2,000人以上規模で新規感染者数は日々増加し続けており、予防接種も遅々として進捗していない。この現状を考慮すると、上記の通り可能な限りの活動は進めるものの、恐らく本年度(2022年3月末まで)にベトナム渡航ならびに現地調査の開始は期待できないであろう。本年度中(2021年度中)に基金の繰り越しを申請し、当初の計画よりちょうど12か月遅れで現地調査の活動が開始することを現段階では想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
既述の通り、COVID-19パンデミックのため現状では、①質問票(案)の作成、②倫理審査の申請といった費用の発生しない活動に留まり、繰越額が生じた。COVID-19パンデミックの日越両国(特に日本側)の状況が不透明であるため、2021年度中(~2022年3月)にベトナム渡航ならびに現地調査の開始は期待できないと想定している。よって、2021年度内に本基金の繰り越しを申請し、当初の計画の丁度12か月遅れで現地調査の活動を開始することに変更することを検討している。これにより、より確実にデータが収集されるだけでなく、COVID-19パンデミックによるベトナム国民の保健サービス利用行動の変容による本研究への影響を最小限に留めることが可能になるであろう。
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