研究課題/領域番号 |
20K23228
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
相賀 裕嗣 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (20884175)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 医療費 / ベトナム / ユニバーサルヘルスカバレッジ / 保健財政 / 健康保険 |
研究成果の概要 |
UHCモニタリング指標として、世帯が負担する保健医療費(OOP)が世帯総支出の10%または25%を超える世帯の比率(破滅的保健支出世帯率)が用いられる。しかし、医療機関までの交通費、入院患者の家族による食事・入浴・排泄・洗濯等の支援、入院・通院・介助等に拠る就労不可に由来する所得損失等の『隠れたOOP』は、OOPに含まれない。『隠れたOOP』を加えた『実質OOP』と『従来のOOP』に拠る破滅的保健支出世帯率を比較しその過小評価を推定した。ベトナムのフートー省総合病院の患者の219世帯を調査した結果、『実質OOP』に拠る破滅的保健支出世帯率の方が1.77~2.17倍と有意に高かった。
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自由記述の分野 |
保健システム
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ユニバーサルヘルスカバレッジの実現には、破滅的保健支出世帯率をより正確に推定することが重要である。現行の、『隠れたOOP支出』を排除した『国際定義に基づくOOP支出』に拠る破滅的保健支出世帯率の算出は、破滅的保健支出世帯率の有意な過小評価となることが本研究で明らかになった。この分野での先行研究は殆どないだけに、本研究の独創性や意義は高い。また、世界各国における公正な保健医療政策の実現に向けての本研究の貢献度も高いと考えられる。『隠れたOOP支出』をOOPの算出時に取り込むことにより、破滅的保健支出世帯率の過小評価を回避するよう世界保健機関WHOや世界銀行WBに問いかけたいと考える。
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