本研究は、虚血性心疾患を患った壮年期就労男性における治療と仕事の両立に影響する要因とQOLの関連を明らかにすることを目的に実施した。 実施計画について、令和2年は質問紙の作成と内容の妥当性を検討した。治療と仕事の両立においては、対象者が備えるレジリエンスが影響すると考えられ、質問紙はレジリエンスとQOLを問う内容で構成した。質問紙は840施設に郵送し、23施設(2.7%)から承諾を得た。承諾を得た施設に通院する対象者309人に質問紙を配布し、115人(35.3%)から回答を得た。 令和3年は、調査票の分析を行った。分析の結果、虚血性心疾患を持つ壮年期男性のレジリエンスの特性について、レジリエンスが高い群、将来への楽観的見通しに関するレジリエンスが低い群、レジリエンスが低い群の3つ群に分類することができた。そして、対象者は全体に高いレジリエンスを有するが、将来への楽観的見通しに関するレジリエンスが低い者が全体の6割存在した。レジリエンスの高低には、ソーシャルサポートと心臓リハビリテーションが関連することが明らかになった。レジリエンスとQOLの関係は、レジリエンスが高い群はQOLが高く、うつ傾向や不安がなかった。よって、虚血性心疾患の治療と仕事の両立を要する壮年期男性は、ソーシャルサポートの充実と心臓リハビリテーションの継続により、高いレジリエンスを形成し、QOLの向上に貢献する可能性が示された。 令和4年は、研究実績について発表を行った。
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