研究課題/領域番号 |
20K23236
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岡本 聡美 北里大学, 看護学部, 助教 (80880335)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 認知症 / BPSD / 攻撃的行動 / 入院 / 看護介入モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症のある高齢者(以下、認知症患者)に生じる攻撃的行動の発現を予防するための看護介入モデルを作成することである。 2021年度は、2020年度にまとめた看護介入プロトコール原案に関連する学会発表と論文投稿を行った。その過程で、攻撃的行動を予防する具体的な看護介入方法を再考し修正した。また、認知症看護専門家とのパネルディスカッションを実施し、看護介入プロトコールを完成させた。プロトコール開発において、Banduraの社会的学習理論を基盤とした。この理論を活用した理由は、研究者らが取り組んだ先の研究結果にある。結果では、既存の研究同様に認知症患者の身体的不調や過剰な物理的刺激が攻撃的行動を引き起こすとされたことに加え、認知症患者には納得できない説明のしかたや、看護師の一方的な配慮も要因となる可能性が示唆された。つまり、看護師が適切な方法だと認識している援助であっても、認知症患者にとっては逆効果となり、攻撃的行動につながる場合もあると考えられた。このことから、自らの関わりが攻撃的行動の誘因となっている可能性を認識していない看護師に、このプロトコールを実践で遂行してもらうための工夫が必要と考えた。すなわち、看護師には、実践における改善点の気づきと認知症患者を主体とした行動変容が求められることになる。そこで、行動変容につながる学習理論として、Banduraによる社会的学習理論を看護介入モデルの枠組みとすることを見据え、その前段階であるプロトコール作成にも組み入れることとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、看護介入プロトコール原案に関する研究成果の学会発表と論文投稿を行った。その過程で、攻撃的行動を予防する看護介入方法をまとめたカテゴリーを再考し修正する必要があり、時間を要した。また、完成した看護介入プロトコールの実施および評価に協力頂く看護師の募集が進まない状況もあった。研究協力の候補者として、関東圏内の医療機関に勤務する老人看護専門看護師を選定し、研究説明後に協力を依頼した。しかし、COVID-19の影響で通常業務以外の面でも負荷のかかる勤務環境にあり、本研究参加に時間を割くことが難しく、参加の同意には至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
認知症看護専門家とのパネルディスカッションが終了し、看護介入プロトコールが完成した。また、2022年に入り医療機関に勤務する数名の看護師より本研究への協力に同意が得られた。本年度は、研究協力者の募集を継続しつつ、並行して看護プロトコールの実施し本研究の目的である看護介入モデルの作成を進めていく。具体的には、2022年前半に研究協力者によるプロトコールを用いた看護実践およびデータ収集を実施し、後半にデータの分析と看護介入モデルの作成に取り組む計画である。インタビューによるデータ収集方法は、今後の感染症拡大の状況により実施可能な方法で行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実施スケジュールが遅れており、プロトコール実施後のデータ収集と分析は2022年度に取り組むことにしている。データ収集ならびに分析で使用する外部と接続されない専用のPC購入、ヒアリングや対象募集に関わる交通費、謝金の予算を計上していたが、2022年度に実施となったため、使用を繰り越した。
|