研究実績の概要 |
本研究は、子育てと仕事の両立における新たな支援モデルを産業看護職の視点から提唱する研究である。3段階で研究を行うが、本研究は第1段階に該当する。第1段階の研究目的は、以下2つである。 ①子育てと仕事の両立において母親が発揮する両立力を明らかにする。 ②産業看護職による両立支援の現状を明らかにする。 ①について、未就学児をかかえながら仕事をしている女性1,910名を対象にweb調査を行った。分析の結果、女性が発揮する両立力は、時間管理力、諦める力、関係構築力、コミュニケーション力、体力維持力、保育専門機関との連携力、健康管理力、感情調整力、情報収集力の9つの因子によって説明できることが明らかになった。 ②について、現職の産業看護職に対し無記名の自記式質問紙調査を行った。両立している女性に対しては、子育て支援サービスや行政サービス等の情報提供、個別健康相談、専門的立場としての助言(妊娠による体調変化、リスク、子どもの発育発達、乳幼児健診等案内、テレワークによる体調確認など)、両立している者同士の交流の場の設定などを行っていた。また両立しやすい体制づくりのために、業務負荷について管理者や人事課と調整する、両立支援セミナーの開催、両立支援制度企画への参画、企業内保育との連携、上司との良好な関係性構築、産業医との連携などを行っていた。産業看護職による支援の特徴は、単に専門職の立場で両立を支援するだけでなく子育て経験者の立場で助言を行っていること、両立している女性を通して子育て支援を行っていることであった。これらの支援が女性の両立を促進する可能性があることが示唆された。
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