研究課題/領域番号 |
20K23241
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
兼安 貴子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (90875923)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | 糖尿病神経障害 / 医療経済評価 / QOL / 効用値 |
研究実績の概要 |
糖尿病神経障害(diabetic polyneuropathy: DPN)は糖尿病患者のQOL(Quality of life)を著しく低下させるにも関わらず、患者と医療者との間にDPNに対する認識のギャップがあり、特に疼痛管理が十分ではない。神経障害の疼痛管理に関する医療経済評価で、最も大きな課題は、QOL(utility)の改善・悪化をどのよう に医療経済評価に反映できるかである。 2021年度は、①日本を含む諸外国のDPN治療薬の臨床試験、費用効果分析報告をレビューし、その成果を2021年9月の学会にて報告した。②尺度変換(mapping)モデルについては、痛みという単一領域の指標を効用値という多属性をもつ指標に変換する手法の妥当性検証、日本への応用に関する課題への対応に関する研究の状況を整理した。 更に2021年度は、2020年10月に発表した糖尿病全体の医療経済評価モデルの課題を整理し、BMC Health Services Researchに投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、抽出した報告の中から国内外のDPN治療薬のランダム化比較試験の報告を中心に、糖尿病神経障害の患者自身によるQOLの評価(QOL-PROの尺度選択)を整理し、糖尿病神経障害の陽性/陰性症状の報告状況、痛みの性質、日常生活への影響、QOL評価の詳細、心理・社会面の影響、薬剤による有害事象の報告状況を明らかにする予定であった。 しかし、そのような多様性をあえて単純化し、統合されたJingxuanら(2021)のような報告が実臨床における薬剤選択には有用であるとの判断に至り、臨床試験報告のレビューについては、2021年度をもって終了する事とした。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は2021年に行った学会報告の中から、糖尿病神経障害の費用効果分析におけるutility関連の以下の情報をまとめ、報告する予定である。 ・費用効果分析モデルのデザイン(decision tree/Markov)・Utilityの情報ソース(臨床試験、調査、システマティックレビュー、mappingなど)・Pain measurement/outcome(痛みの有無からスケールまで)・各状態のUtility値(薬剤別ではなくpain outcome別)
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナによる、出張制限、学会などのweb開催に加え、論文化等の遅れも影響していたが、今年度にこれらに関する支出が予定されている。
|